「NIRA政策研究」2003年VOL.16 NO.2で「一新塾の活動と公共政策に参画する市民教育」というテーマで
事務局長の森嶋が書かせていただいた原稿がありますので、ご紹介させていただきます。
【 目次 】 |
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■パーソン・スペシフィックの時代 |
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■パーソン・スペシフィックの時代 |
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キャッチアップ時代に国家の掲げた「均質的社会志向」から地域毎の個性や独自性を尊重する「地域差志向」へ。全ての自治体が中央政府に顔を向けていた「横並び型地域行政」から、自らの知恵と力で地域の個性を存分に発揮させ活力を生み出す「地域協働型自治行政」へと『地方主権』の模索が始まった。 さて、長らく閉塞(へいそく)状況から脱皮できない日本の根源的な問題は何かと問われれば、それは、中央集権というシステムである。とにかく、このシステムのおかげで、個人も地域も企業も全て依存して生きることが染み付いてしまった。中央集権から地方主権への意味することは、まさに、個人、地域、企業が自律への道を歩み出すことに他ならない。 26年前『企業参謀』を世に出し、マイケル・ E・ポーターらが洗練を重ねる以前に、日本に「戦略論」を持ち込んだ大前研一氏は以下の発言をしている。「『戦略とは何か』と問われれば、もはやそれを定義しようと思わない。こうすれば企業は成功する、事業が上手く発展するという、経営学者の言うところのフレームワークでは、何も見えなければ、答もでない。」 その理由を、かたちをとらえることができない「実体経済」「グローバル経済」「サイバー経済」「マルチプル経済」という4つの次元が絡み合う「見えない大陸」に入り込んでしまったからだという。 そして、この「見えない大陸」の時代に挑むためには、「パーソン・スペシフィック」にかかっているという。その人材がどんな構想を持ち、どの時代のどのタイミングに、一大奮起してやるか、 こそが鍵を握るというのだ。 当然、このことは『地方主権』を進める上で当てはまる。自主自立の精神を基盤とする『地方主権』実現の成否は、「権限」「財源」「人材」であるとよく議論されるが、そのうち、最も注目すべきなのが「人材」である。人材とは自治体職員、地方議員だけでなく、住民、企業、非営利活動組織 のメンバーも指している。 では、『地方主権』の時代にはどんな人材が求められるのだろうか? キャッチアップ時代は、法律制度に精通し中央省庁が策定する計画の内容をよく理解し、それを的確に運用できる力を備えた人材が求められた。 年代のまちづくりや地域おこし競争の際は、先進的な事例や情報を素早く吸収し巧みに応用出来る能力が注目された。 しかし、これからの『地方主権』の時代にはゼロベースでものを構想していく力、緻密(ちみつ)な分析力、 のサイクルで行動しながら自ら方法論を生み出す力が求められる。答えは与えられるのではなく、個々が仮説、実行、検証を繰り返す中で見出していくのである。さらに、地域が持つ人材を最も効果的に活用するためには、上記の個々の人材の能力アップ に加え、以下の三つの力が重要である。 ●現場に赴き社会の問題を吸い込む当事者意識を持つ ●組織外の人たち相互に啓発し合うと共に協働する ●価値観の異なる人々の発想を受け止め、自分の考えも伝えられるコミュニケーションスキル 一新塾はこれらの力を鍛錬し、私たちの声をグラスルーツで社会に反映させていく「市民参加の方法論」を探求している。今後、地方主権が進めば、これまでのように役所任せでなく、だれもが政治や行政に関わる時代が来る。 21世紀の難題に立ち向かうために、地域に存在する知恵を最大限に活用するために、市民が全員参加で問題解決・創造に取り組むのである。 その先陣を切って道をつけていく地域リーダー育成を担う場が一新塾である。 |
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■一新塾のルーツ |
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| 【平成維新の会が母体】 一新塾には歴史がある。母体は1992年に大前氏によって創設された政策提言型の市民運動組織「平成維新の会」である。旧体制を混在したままでの改革ではなく、「生活者主権」を唱え、新しい地方自治・道州制への移行を促した。 1993年7月、衆議院議員候補350名の面談から108名の推薦を立て、82人うぃ推薦議員として国会に送りだした。「平成維新のための法案デッサン」(83 法案)を彼らに託し、議員立法実現へ向けての活動を展開。しかし、実現したものはなかった。 大きく方向転換するときには新しい人材が不可欠である。 改革という、道なきところに道をつくるがごとき作業は、主体的な市民によってこそ可能であるという考えのもと、 1994年に「政策学校一新塾」は誕生した。創設者大前氏をはじめ、一新塾の趣旨に共鳴した多くのボランティアの熱意が結集して立ち上げの原動力となった。 「ゼロベースからの改革を担う、主体的な市民を作り出すためにも、民主主義の基本である主義主張を越えた自由な議論を交わすことをモットーとしたのである。その意味でも、講師、塾生も含めて、私の主張に真っ向から反対する者も大いに歓迎した。」 これは設立時の大前氏の言葉であるが、こうした姿勢が、伸び伸びと自らの理想を語り主義主張を越えて議論する一新塾の「風土」を生み出した。 また、「平成維新の会」からの年の歳月に裏打ちされた理念は、今でも塾生のチャレンジに大きな勇気を与えてくれている。 |
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■一新塾のこれまで |
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| 一新塾は設立から8年を経て、輩出した塾生は2000名を超えた。10代から70代まで、議員、官僚、会社員、経営者、研究者、ジャーナリスト、デザイナー、学生、主婦など異なるバックグラウンドを持つ塾生と講師が
主義主張を超えて議論し切磋琢磨してきた。 毎週の講義が終わっても終電まで議論を続けたり、休日に集まって現場を見学に行ったり、そうした活動の積み重ねが最終的にチームの政策や活動計画にまとめられた。そうした活動を通じ、一人ひとりの可能性は開かれ、主体的市民としての目覚めが連鎖していった。また、理想の実現に向けて、異なる個性と個性が一つに結びついた時、計り知れない知恵や力が生み出されることを、私たちは驚きと共に体験してきた。 一新塾は政治家養成学校というわけではないが、一新塾出身の議員は、これまで国会議員2名、地方議員40名。年々増える塾出身の議員が塾に来て、塾での議論を吸い上げて議会で質問したりしてくれる。おかげで、俄然(がぜん)リアリティが出てきて、塾生が政策提言へ取り組む目の色も変わってきた。 また、無党派知事・市長誕生の一翼を担った人。さらに、社会の問題解決のために起業する人や 活動を始める人が、続々と誕生している。 そして、2003年一新塾は次のフェーズへと進んだ。8年間、大前氏の下で株式会社として運営されてきたが、2003年1月にはNPO法人格を取得し「特定非営利活動法人一新塾」として独立した。 閉塞状況から脱出できない日本において、今ほど「主体的市民教育」の求められている時はない。主体的市民教育を世の中に根付かせるために、その原動力をさらに多くの人たちの熱意に求めNPOという形で再スタートを切ったのである。 |
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■主体的な市民を育成するプログラムとは |
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一新塾の教育プログラムは「行動実践型教育」である。12ヶ月のコースで毎週の平日の夜間と月1回の土日を利用しての「講義」と、並行して進められるチーム活動での「政策提言」との 二本柱から成る。実際に国会・地方議員を招いて直接、提言を行う機会もある。 学びには以下のように、四つのステージが用意されている。ステージ毎に特徴を述べてみたい。
第一ステージ 問題発見 (1)第一ステージ 問題発見取り組みテーマを決める段階。現在の日本の抱えるさまざまなイシューに触れ、自らが最も惹かれるものを選択。選択したイシューは問題を構造化し、問題の本質へのアクセスを試みる。 講師は各界の最先端で活躍する政治家・官僚・経営者・ジャーナリスト・市民運動家・学者・小説家など多彩である。 ●主義主張を越えた議論 ●インタラクティブ ●現場視察 (2)第二ステージ ミッション探求 物事に取り組りくもうとした際の原動力は自分の内からわき出るエネルギーである。その力を引き出すために、自らのミッションの輪郭を漠然とではなく明確に自覚することを目的とする。 ●価値観の押し付けはない。ただ行動するのみ! ●ミッション発見 (3)第三ステージ 政策立案チーム活動では社会問題を一つ取り上げ、期を通じて問題解決策を提言する。問題解決には大きく分けて 二つあり、政治・行政に対しての政策提言と市民プロジェクト(NPO活動・コミュニティビジネス)の計画・実践とがある。また、実際に国会・地方議員を招き、直接提言する機会もある。 ●政策立案フォーマット
●チームビルディング
●授業の中で議員に政策提言 (4)第四ステージ アクション●講師がチーム活動のブレーンに! ●卒塾生が講師になるフィードバックシステム ●塾生活動 |
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■地域協働型の自治システムの構築 |
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以上、一新塾が取り組む主体的市民教育を紹介してきたが、世の中を大きく方向転換する時には、組織を超えた連隊が可能性を開くと考えている。 |
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一新塾事務局長 森嶋伸夫
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新しい国づくり・地域づくりのために、ゼロベースで理想の社会ビジョンを描き現場に飛び込み、
問題の構造を解き明かし、仲間と協働して問題解決していく主体的市民の知恵を配信中。(月2回以上)
個人のミッション基軸で新しい社会創造、社会変革へ挑む塾生の挑戦体験をお届けします!