一新塾講義録(11/27) 小林慶一郎氏(経済産業研究所研究員) 『日本経済の罠−不良債権処理と 新たな経済制度に向けて』 (1)デフレは不良債権処理を先送りにした結果であり、直接には企業収益や個人消費を悪化させておらず、要因として、債務が多すぎるために資産デフレなどに陥り、さらに企業や銀行の債務超過が悪化し、実態経済を悪くさせるというDisorganization(債務が原因で起こる経済組織の破壊)というメカニズムに陥っている。 (2)その循環から抜け出すために、債務超過の是正(金融システムの再生と企業再編)をすればデフレから脱却し、不良債権問題の解決になる。 (3)日本は海外に例を見ないほどに長い危機継続に陥っている。チリやメキシコ、スペインなどの国の教訓から、不良債権の先送りは財政コストを増大させ、流動性供給は実体経済を悪くさせる傾向がある。 (4)当面の政策デザイン [1]銀行においては資本注入による債務超過の是正や債権回収、 オペレーション改革による収益性の向上をはかる。 [2]企業においては債務削減や倒産処理が必要であり、 特に資産査定の厳格化が重要である。 [3]また、失業者が増加すると思われるのでセーフティーネット の充実が必要。 [4]長期的には、アメリカやイギリスを教訓にし、緩やかな インフレへと誘導し公的債務を長期間かけて縮減させる。 [5]大恐慌から抜け出すのにかかった年数とGDPを比較し、 金融システムの回復には長い期間が必要である。 (5)最後に、日本人の価値観は、経済問題や経済活動の話を低く見がち。今後、新しい思想が出てくるか? 【質疑応答】 講義前半で小林氏独自の見解をお話いただいたのに続き、後半は、塾生からそれぞれ の立場から率直な意見をぶつけさせていただく機会となりました。 [1]不良債権を含む債権取引の2次市場の形成について。 [2]日本国民が今までと変わらず、危機感を持っていなければこの先どうなるのか? [3]ハードランディングで債権処理を進めていく場合にはどうのように合意形成を築くべきか? [4]公的資金を本当に使うべきか? などについて小林慶一郎氏と塾生の間で議論されました。 |
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