一新塾講義録(2003年6月4日)
「個人の自律、地域の自律、そして国の自律を考える」
 金美齢氏(台湾総統府国際顧問


80名びっしりに埋め尽くされた教室。そんな中、金美齢氏が到着されました。
もう、何度も一新塾にきていただいている金美齢氏。「来年の2月には70になるのよ。でも、まだまだイケてるでしょ?」(一同拍手!)とおちゃめな発言も交えて講義が始まりました。自律が足りないとはどういうことかを実例をもって話をしてくださったり、国の姿とは自分であり、自分と関係ないところに別個に国の姿があると思っていたら間違い、と個人の自律の大切さを様々な角度から伝えてくださいました。
後半の質疑応答では、かなり人生相談のようになってしまいましたが、金美齢氏は一つ一つの内容に対して人生かけて蓄積された、知恵をもって愛情たっぷりに応えてくださいました。得に女性の質問は大歓迎、司会を担わせていただいていた塾生に女性の方を指すように指示してくださるという場面もありました。

■個人の自律について
マイナスの面を出さないことではなく、どうすれば積極的に反応し生きていけるのかを自分に課すること。何ごとも、コインの両面のようにプラスとマイナスがあるけれど、プラスを発揮できる心構えを持つこと。
人間の存在の力は、いざ何かあった時に状況に対して臨機応変に対応できるかというところ。与えられたことしか出来ないのではコンピューターやロボットと同じ。仕事であれば、常に最上のサービスをしようとする姿勢を常にもっているか。
私は問題があれば、どう解決するかを考えますが、最大の努力をした後は、もし解決しなくても次のステップを目指します。愚痴はこぼしません。愚痴をこぼさないことも自律だと考えています。
自分をプラスに律すること。明るく、前向きに、どう人の役に立っているか、周りの人間を幸せにしているか。自分がいかにハッピーになり、人にもハッピーを与えられるか。どう自分をコントロールするか、仕事であれば、吸収することをどうグレードアップしてゆくか、です。

■ 日本という国
日本人は良い意味でも悪い意味でも真面目。戦争に勝って、そして負けた。ぺしゃんこになってしまった。それをチクチクされると一言も言い返せない。負けたことによって一部どこが悪かったのかを教訓にすればいいのに、負けた時に自身喪失し、日本が培ってきた良いもの、伝統なども全体を否定してしまった。日本の悪いところは「all or nothing」になっているところです。
そして主張が不得手な民族性は外交に影響している。外交は自己主張をいかにするか、そこで折り合いをつけてゆくもの。自律はプラスにもってゆくためのコントロールなんですが、日本外交においては相手を刺激しないようにしてきたので、大きな損害を受けてきてしまったのです。
日本は本当に素晴らしい民族だと思います。日本には学んだものから新しいものを創造する力がある。そう思っていない日本がまちがっているんです。中国から学んだ漢字からひらがなをつくり、自分達の独自の、世界に類を見ない文字を、新しい文化をつくっていった。それも、日本の素晴らしさなんです。
台湾を近代化させたのも、日本なんですよ。他の国の植民地になったら、台湾はそのようにならなかったと思います。わざわざ、自国の民と同じようになるように教育なんかしませんから。

■人生の選択
私は三つのことを常にしてきました。
「卑怯なまねはしない/敵に後ろを見せない/常に難しい方を選ぶ」
迷った時は、自分を磨いて充実させる。自分の適性を考えたり、何をしたいかによって何を詰め込むかは変わるけど、自分のしっかりした中身をいかに作るか、です。


(了・文責 一新塾事務局長 森嶋伸夫)

「自律というのは、なるべくマイナスを少なくしてゆく心構え、姿勢でもあります。そしてプラスを輝かしてゆける心構えをしてゆけば。私は常に自分がハッピーであるようにしています。ちょっとしたことでできます。みなさんにどうしてそんなに元気なの、と聞かれることも多いです。」

「皆さんは若いからまだ考えたことがないと思いますが、美しく齢(よわい)を重ねる、ということは、自分が1日を、1年をどう生きていくか、どう齢を重ねてゆくかということ。それによって人生が決まってしまうのです。この文字が私の名前なんですよね。人生は地道にレンガを積み上げてゆくようなもの。しっかりとした中身をいかにつくるかということが本当に大切だと思います。」

「私のミッションはいざとなったら台湾の側に立ちましょう、と言ってくださる方を増やすことです。台湾は特殊な歴史を重ねてきたところ。多文化なんです。中国の一部ではありません。台湾は台湾でなくちゃならない、と思っています。台湾が台湾であることの大切さを日本の方に知ってほしい。台湾を50年間領有したことがある日本は、最も台湾のことに関心をもち、台湾のために発言をしなくてはならない立場だと思っています。是非、台湾の立場にたって発言をしていってほしい。もっと日本の方に台湾について知ってほしいのです。そして台湾が健在であることが日本にとっても良いことでなくてはならないと思っています。
10月に日台交流を目的に”台湾ウイーク”を企画しています。「ビューティフル、アイランド、フォルモサ(台湾の英語の名前)」というタイトルで行う予定です。絵や音楽や食べ物を通して、台湾をもっと知っていただきたいと願っています。

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