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一新塾講義録(2003年11月5日19:30〜21:00)
「市町村合併」
藻谷浩介氏
(日本政策投資銀行地域企画部調査役)
今期のテーマ「現場主義」。入塾式での青山さん の基調講演に引き続き、現場主義の真髄の話をビシッと語っていただき 身の引き締まる講義でした。毎度毎度、藻谷さんの現場を知り尽くし、
ミクロからマクロを紐解いていく手腕には驚かされます。
藻谷氏は、一新塾での講義が3回目。今回は、一新塾生のために特別講義をご用意してくださいました。徹底して「事例から学ぶワーク」となるよう、ディスカッション形式で最初から最後までできるだけ多くの塾生一人ひとりの体験を聞かれ、そこに流れている問題を掴む流れをつくってくださいました。
■事例から学ぶ
私の特徴はひたすら「事例から考える」ということです。
「事例を通り一遍に見ない。」多くの方は事例から考えるということをしてるようでしていません。どこかで誰かに教わった、本当か分からない自分の思い込みかもしれないセオリーを事例を見て、補強しようとしているのが実際だと思います。セオリーにあてはまる事例に出会った時に「検証された!」と思ってしまう場合がほとんどです。あてはまらないと例外と考えてしまう。
だから私はセオリーを勉強しない。事例から自分ですべての事例を矛盾なく説明できるセオリーを考えます。シャーロックホームズやルパンのようなものです。
次に判断を求められる重要はポイントは、「今見ているものは、例外なのか?それとも、こちらが原則で、自分が考えてきたものが例外なのか?」それを1から考え直します。その能力を練習してゆくことは政策において極めて重要なことだと考えます。
■市町村合併の体験を語ろう
じゃあ、まず宿題が出てたと思いますが、みなさんの身近で合併したところ、合併の話が壊れたところはありますか?自分の町の体験したことを教えてください。
(合併を体験した塾生のさまざまな体験を聞かれ、ひとつひとつの事実を全体としてどんなセオリーが導き出されるのかに迫っていかれました。もちろん、どの町の話でもそこに住む方よりも背景を知っていらっしゃるので、塾生にもどんどん質問され、たくさんの体験、事例が分かち合われました。)
なぜあの地域と合併をしようとしたのか?そういうことはありませんか?
(合併が破談になったある地域について、そこに住む住人の方に話を聞かれる)
その地域を合併しようと思ったのは非常にわかりやすい理由が有ります。「政令指定都市になりたかったから」です。では、なぜ、政令指定都市になりたいのでしょうか?それは県と同じ権限を持ち、いちいち県庁にお伺いを立てなくてよくなるからです。世の中は、そのように、いろんなことが複雑に組み合わさって動いています。ただ、結果的に一般市民に伝わる時は、「どうもあそことは気風が合わない。」そういう形として伝わっていたりしますが。背景には政治的な意味があったりします。政治的に意味があることしか政治家はなかなかやろうとはしないので、合併の枠組みと実態がどんどんずれていってしまうのです。
■市町村合併、何のため?誰のため?
3つの意見、それぞれの立場がありますが、あなたはどの意見?
★「合併しちゃえば?」
大きい都市になった方が、国からたくさん予算をぶんどってこれるのでは?
住所に『市』って書ける方がかっこいい。
合併特例債が出る間に合併しよう(2004年3月期日までに)
★「合併は困る!」
役場はうちの商売のお客さんだから取り引きに影響が、、、、。
大きな市になったら山奥まで目が行き届かないのでは?
大きな市と合併すると旧○○町がないがしろにされるのではないか?
★「どっちでもいいけど」
公共料金が下がるなら賛成。1円でも上がるなら反対。
私が何を考えても、どうせ上の方の力関係で決まるんでしょ。
行政がどうなろうと、私の生活には何のかんけいもございません。
どっちでもいいけど、と公共料金が下がるならと考えている人は危機感が足りないと思います。人口が減ってゆく時に、水道管も短くなると思いますか?そのままなら上がるのが必然です。おそらく、このような論点になる方は人口が増えると考えている方ではないでしょうか?
■「平成の大合併」の本質
平成の合併を考えるのに、一番大切なのは、日本の国の財政が本当に破綻しているという前提です。この10年で国も都道府県も市町村もほとんどが財政破綻しています。税収より使っているお金が多いのです。10年前は、まだ正常だったけれども、この10年で自己破産状態になってしまいました。理由はおわかりですjね。そこで、市町村の合理化、出費の削減が急務になっています。その手段としての合併に注目が集まっているわけです。国債で国民の貯金を吸い上げて帳じり合わせをするのも、あと数年しか持ちません。今さら国の責任だと居直っても何も解決しません。自分の自治体だけでも改革しないと何も変わらないと私は思います。
(合併で本当に合理化されるのか、塾生に自分の体験や知っていることを聞かれ、実際の市町村合併の失敗例を説明され合併の問題の根本をあらゆる面からわかりやすく説明してくださる。)
■人口論から2020年の危機予測
明治維新以後は、人口が増加し続けた日本だが、今をピークに人口は減少します。2020年には景気に関係なく日本の危機がきます。
(時間が無いので、今回は話されませんでした。)
■以上の分析が教えるもの
人口が今後減少し、高齢化が進むと、税収も減る。それを考えたら、合理化しなければ、行政はもたいないのは明白です。東京では合併の話は出ませんが、それはそれで問題ですが。合併したとしても、旧市町村単位で争ったら、財政破綻になるし、補助金目当ての合併はお金目当ての結婚と同じでうまくいきません。
できれは痛みをわかちあえる範囲での合併をして、合併後は必死に努力することが大切です。
合併の理想例としては、神戸ではないかと思います。なぜかというと、神戸の各地域は灘から須磨まで、切磋琢磨して個性を競争しているのに、外向けには団結して「神戸」ブランドでオシャレな町という統一感がしっかりとあるめずらしい例です。
■講師が勝手に考える行政単位の将来像
合併が増えていると言うことは、市町村単位が合併によって広域都市圏となっていっているという状態です。
今まで→ 国__都道府県_市町村
将来像→ 国__道州___広域都市圏_コミュニティ(住民自助努力促進)
※このコミュニティとは 明治時代の村か小学校の校区ぐらいの単位。
■対等合併(新設合併)と吸収合併(編入合併)
みなさんは、どちらの合併がいいと思いますか?合併は行政の合理化が目的で行われているのですが、吸収合併(編入合併)だと、合理化は機能しません。もともと、税金で私達が雇っている役場の方達が合理化努力を怠っていることも原因で合理化のために合併するのだから、この機会をそのチャンスにしなくては、目的と違ってしまいます。合併の時は、一度解散して新たな気持ちで新しい合併後の地域となって始める形が合理化を促進するのではないでしょうか?
皆さん、お疲れ様でした。
本当は自分ですべて話せば合併についてはもっと話せたかもしれませんが、皆さんは、事例から(自分の見ている範囲から)学ぶ__「議論して考えて、いつの間にか世の中全体の構造を見抜く」ということを訓練するために今日一新塾にいらしたわけです。ですので、今回はみなさんの発言と世の中のセオリーがどうつながっているか、がなるべくわかるように話をしたつもりです。
今日、発言してくださったみなさん、発言しようと思ったけどできなかったみなさん、ご協力本当に有り難うございました。これからのみなさんの学びが具体的な行動に結びつけるほど深くなることを強く祈っております。
(了・文責 一新塾事務局長 森嶋伸夫)
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