一新塾ニュース
8月30日号(第9号)
テーマ: 「一新塾第7期入塾式講義録」


 今回の一新塾ニュースは、6月24日に行われた一新塾入塾式の大前塾長講義録をお送りします。沖縄や九州を始め全国から集まった塾生を前に大前塾長の講義は5時間を越え熱のこもったものでした。その講義の一部をご紹介いたします。世界はここまで進んでいるのか、と実感できると思います。と同時に日本の21世紀デジタル情報化社会に向けての課題を考えてみましょう。

【第9回テーマ】 「一新塾第7期入塾式講義録」

■入塾式のトピックス

(1)電子政府を実現するには、個人認証が重要になってくる。
   日本では電子政府化できる可能性はあるのか?

(2)南北朝鮮の歴史的対談・・・南北統合はあるのか?
   --->経済的格差が大きく、うまくいなかないだろう
 
 東西ドイツ:西ドイツ側は5年間、5%の追加税負担を負った
 南北朝鮮:南北経済格差は15倍。韓国が向こう10年間、10%北朝鮮の
      ために余計に税金を収めなければならないほど大変なこと。
      それ以前に、雪解けの傾向はあるものの、韓国内部で南北問題を
      抱えている。

 経済格差が大きく、政治体制の違う世界に長くいたもの同士は、中国と台湾のように分断時代は毎週のように手紙をやりとりしていた親戚でもいざ直接会ってしまうと貧しいほうが富んだほうに「その服どこで買ったの」「その時計ちょうだい」と、富んだほうは身包みはがされて、相手の物欲に幻滅して、二度と会いたくない、となってしまう可能性が高い。

(3)世界で繁栄している地域の共通パターン:
   税金、債券、公共事業、天然資源・・・自分の身銭を切っているところ
   はうまくいかない。

 高齢化社会、成熟化社会で年金・預貯金が余って投資機会が少ない。 世界に余ってる金を呼びこみ、他人の金でうまくいく企業がきて技術や産業、 技術をもった人材がきて、結果として情報が集まり、さらに企業がきて外部 から金が来るから税金が安くでき、だからまた企業が・・・というサイクル
 --->繁栄は身銭を切るのではなく、世界から呼び込め!

 資源のない国/地域が「知恵」で勝ち組みにいける、それが情報化社会の特徴である
(例)アイルランド、フィンランド、シンガポール、バンガロール(インド)

※日本人に一番足りないもの、それは「健全な欲望」(アンビション)を持っていないことである。

 (例)もっと広い家に住みたい
    もっと通勤を楽にしたい
    もっと会社を良くしていきたい

 健全な欲望があれば、日本は金・知恵などその「欲望」を達成する手段をほとんど手段をもっているにもかかわらず。

■この中で(1)電子政府について、先端を行く海外の例を交えながら紹介し ました。以下詳細講義録です。

電子政府実現のためには「個人認証」が最も基本となる。そして認証が電子的にできるようになると、役所が要らなくなる。しかも24時間対応可能。

しかし現在の日本で行われている実印登録、すなわち「ハンコ」というコンセプトは安全なものではない。誰かに盗まれ、勝手に押されて財産を失う。「印鑑登録」というのは19世紀的でふざけた話ではないか。

※バイオメトリックス:指紋・掌紋・光彩・顔の骨格など物体しかもっていないもの

バイオメトリックスなら、落とさない、なくさない、他人に使われない。例えばアメリカの軍関係などでは、光彩(アイリス)を使う。

・シンガポール:1984年から取り組み(IT2000)、既に行政手続が
        電話一本で可能。またはネットで送ればそれで終わり。

・マレーシア:デジタルシグニチュア(電子署名)法が3年前に議会を通過し、
       自筆/ハンコを廃止

・アメリカ:バイオメトリックスを含む電子署名でこれをもってオリジナルと
      する。今年議会を通過。

ところで日本は「戸籍法」:戸籍はこれを閉じることで戸籍となる。つまりこよりで紙を重ねてとじれば、あとから一枚だけ抜いて改ざんできないという理屈。明治時代から変わっていないこの法律では、戸籍はデータ化できない。

そもそも日本の法律には「印鑑」について記載はされていない。印鑑は「条例」で定められている。にもかかかわらず「この書類には実印が必要」「この書類には不要」など教わったことをそのまま覚えてしまう。一度覚えてしまうと不便さを感じなくなる。手紙を出すのは「郵便局」お金をおろすのは「銀行」議会は「二院制、代議制」。覚えて、それを「知識」と称し考えない。さまざまな「おかしいことをおかしい」と思わない日本人。このままで日本は21世紀を迎えられるのか・・・日暮れて道遠し。

インターネットの大きな可能性は、直接民主制への道が開けるということである。もし電子署名が実現できれば、衆議院選挙1回1億円あればできるが、現在は1回750億円もかかっている。

・デンマーク:ICカードを行政(国レベル)でいち早く導入した国
       病院で生まれた瞬間に国がその子にICカードを発行し、一生
       使える。デンマークで生まれたからには、等しく政府がその子
       の人格・権利を保障する。ICカードはそのツール。

日本では生まれた後届け出ないと戸籍に載らず、しかも父親・母親が誰で、正式な結婚に基づく子供でないと認めないとか、親の問題を生まれてきた子にも押しつける。そのために学校で差別され、認知するしないで親が死んでも何十年も争ったり、この戸籍制度でどれだけの不幸が生まれたことか。今の日本の戸籍制度は人間性のかけらもないもの。生まれてきた子供は、その国において等しくその生を全うする権利を持つべきではないだろうか。アメリカのようにたとえ違法移民のもとであってもアメリカで生まれたら、その瞬間にアメリカ国籍を出す、日本もそのぐらいあってもいいのではないか。

デンマークが世界で最も進んでいると思うが、21世紀の技術「ICカード」を用いながら、生まれてきた瞬間その「個」というものを国が直に認めてしまう、しかもそのデータベースにおいては親は必須記入事項ではない。ただ、これはデンマーク政府が勝手に作った仕組みではない。学者ではない国民的ディベートがあったからである。

※日本政府電子化の壁:戸籍法と印鑑のために電子化できない

 

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