一新塾ニュース  第33号

発行日:2001年8月17日

「会社をやめないで選挙に出よう」キャンペーン・イベント迫る!
サラリーマンが立候補する意義とは何だろう

柳澤 美樹子(一新塾第8期生)

来る8月25日(土)、一新塾と一新塾8期地方自治チームの主催で「会社をやめないで選挙に出よう」というキャンペーン・イベントが予定されています。
このイベントは、サラリーマンが会社に在籍したまま国政選挙や地方選挙に立候補しようというチャレンジ精神を喚起すると共に、そのために必要な制度や環境はどんなものなのか、みんなで考えていこうというものです。

実は私は当初、このイベントの意義には懐疑的でした。
私は大学卒業後2年3ヶ月だけ商社のOLをやったのですが、以後15年ほどはずっとフリーで仕事してきました。誰に強制されることもなく、自分のやりたい仕事をやりたいだけできるフリーランスはたいへん気に入っています。しかし、一方で会社というのはありがたいものだと、身にしみて感じてもいます。自分では到底作れない物を受注し、自分では稼ぎきれないお金を動かすという身に余ることができるのも、会社にいればこそ。毎週末休んでも、夏休みを一週間とっても、毎月お給料が振り込まれるありがたさ。家賃も払わず、自分のデスクを置かせてくれる鷹揚さ。会社は、社員にものすごくサービスしてくれているところだと思います。
それなのに、会社の仕事もしないで選挙活動する人を「解雇するな」なんて、とても厚かましくて言えません、と思ったのです。

ところが調べてみると、ヨーロッパなどではその権利が保障されている国がたくさんあります。それはどうしてかと考えてみるに、政治に携わる人が「特別な人」か「普通の人」かという感覚に差があるのではないかとわかってきたのです。そう言われてみると、政治家には我々の普通の生活をよく知った上で鋭い嗅覚で問題点を見つけだし、柔軟な企画力で未来を描いて見せてくれるような人になってほしいですね。それならサラリーマンの中からも、優れた感性と創造性、調整や処理の能力をもった人が、持てる力を社会のために役立てようと選挙に立ってくれたら、我々の一票を託したくなります。なにしろ世の中の勤労者の6〜7割はサラリーマンなのですから、多くの市民の生活に基づく声を代弁して、より住みやすい社会を実現してくれることを期待できるような気がするではありませんか。
それには、立候補しようとする人が社会的立場も収入もすべて捨てるようなリスクを個人で背負わなくてすむよう、選挙のための休職ができるような制度を実現することが必要です。
先の国会では、民主党から「立候補休暇に関する法律案」が提出されました。この法案自体は審議に至らぬまま国会が閉会になってしまいましたが、今後も継続して検討すべき課題だと思います。

8月25日に行うキャンペーン・イベントでは、選挙への参加を呼びかける「選挙に行こう勢!」という市民グループの発起人で作家の石川好さん、「立候補休暇に関する法律案」を発議した民主党所属の参議院議員・山下八洲夫さんらにご参加いただきます。石川好さんの基調講演や、パネルディスカッション、会場の方々も含めての意見交換などで、身近なところから政治を見つめ直すことができるのではないかと期待しています。
私もわかりかけてきた「会社をやめないで選挙に出よう」ということの意義を、当日はたくさんの方々と語り合えればと願っています。

<プロフィール>
柳澤美樹子(1961年、東京生まれ)
一新塾第8期塾生、地方自治チーム
著述業/旅、食、子どもを中心に、書籍・雑誌に執筆
E-mail:ryusofc@nifty.com



■編集室より

フリーのライターとして活躍中の柳澤さんは、大前塾長の著書に刺激をうけ「自分でもなんとかしなければ」と、その方法論を探るために一新塾を受講しました。8月25日(土)には一新塾と第8期生の地方自治チームが主催する「会社をやめないで選挙に出ようキャンペーン」が行われます。一般の方もご参加いただけるイベントですので、ぜひご参加ください。詳しくは以下の案内をご覧下さい。

一新塾ニュース編集担当 近藤芳樹


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