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        大前研一の一新塾ニュース  第59号 
       
          発行日:2002年5月9日

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主体性ある市民を目指して

                        第7期ビジョンコース
                           横倉 洋子

【一新塾を卒塾して】

 一新塾を終えて2年以上が経過しました。なにげなくネット広告で見つけ六番町のビルに足を踏み入れてから、ずいぶん自分が変化したように思います。

 政策、とは何でしょう。それすらも当初は知りませんでした。7期では、ディベートの講義・実習があった後に議員立法という手段を学びました。世の中のルールである法律、行政の指標である政策を政府の下請けである官僚ではなく、選挙民の代表である議員が立案する、こんな単純な事が実はほとんど行われていない、あるいは立案しても成立しない。
いったい、誰の為の政治制度なのかしら。 あれ?待てよ。
それじゃぁ、自分の考えも政策って形で実現出来るかも。なんちゃってね。

 塾でのさまざまな講義はテレビや書物の知識とは異なり、理解しやすいものばかりでした。しかも、一新塾の良いところは必ずディスカッションがあるという点です。「あいつ、良く質問するなぁ」と言われますが、せっかく目の前に講師が居るのです。もったいないじゃないですか。(^.^)聞きかじりの中途半端ではありますが、自分の知識は格段に増えました。あ、ついでに度胸もつきますよね。御大臣でも評論家でも、ドンと来い!

【「市民参加」の流れを実感】

 そして、面白いように「知るからこそ」疑問と怒りとアイディアが出てきます。「何で?」「何で?」と幼児期に戻ったような状態になる時もあります。もちろん、自分の生活に直接関係のない分野、興味のない分野の講義も少なくありません。それでも聞くと筋道の通らない物が見える事もあります。「知るからこそ」発言していきたくなってきました。

 話はそれますが、こうして「市民」が「知識を得て」から「専門家」と議論する「コンセンサス会議」という手法があります。政治は当然ですが、今先端科学と呼ばれるものにも、徐々に「市民との合意形成」が倫理指針という形で付加されるようになってきています。難しい事、自分とは直接関係ないようであっても社会形成に関わるありとあらゆる分野には、市民の意思がもはやかかせないものになりつつあるのを最近実感しています。

【発言したい!】

 塾で私が取り組んだ政策提言は医療改革です。これも単に自分の職場が病院で「そこが変だよ、医療業界!」と塾生の皆様に知って頂きたいと思ったにすぎませんでしたが、一新塾で目指すものは世に問える政策という形式。(*_*)
資料かき集めて文章にはしてみたものの、稚拙な一般市民のアイディア止り。現実の政治がいかに難しいものであるかを、実感させられた感じです。

 けれども、ともかく1年が過ぎて塾を終えた時 それまで以上に「発言したい」という気持ちは強くなっておりました。

#お金も立場もありゃしない。どうしよう。ネット位でしゃべってみるか。

 こうして、最近はネット上、メーリングリストや各種のパブリックコメント、更にチャンスがあれば議論の場に出かけたり投書したりしています。面白いのは、「貴方はどんな立場の方ですか?」と質問されて、「ただの一般市民でございます(^○^)」と元気に答えると相手が大変困ったような顔をされる事です。直接の利害関係者しかしらないんでしょうか。

 そうすると、チャンスも増えてきます。声に出したり、メールに書くことで当然、自分の意見は世に出て行きます。私一人の意見が数人や数百人に広まります。そのうち、一人からレスポンスが来ると会話になります。会話があつまると意見になります。市民から湧き上がった意見を聞かない政治家はいません。与党も野党もなく、有権者である市民の意見に従うのは何よりも必要だし、ある意味楽ですらある、とも言われます。

#何だ、発言する場所 見られる場所も沢山あるじゃないか。

【ふつうの市民として】

 例えば、先日私は農水省の大ホールで武部大臣と会話が出来ました。マスコミの方は、「市民につるし上げにあう武部大臣」を撮ろうとするだけ。農水省がお願いしても市民募集・開催案内は記事にならなかった。でも当然ながら、全国から農家の方々は見に来られていました。この場所でしか見えないものがありました。でも、マスコミが撮りたいもの、流したい情報だけが面白おかしく繰り返し映されていきます。何かが変です。
 すると、農家の女性の方と農家向けの雑誌の方に出会いました。参加した女性誌の記者さんとも話しました。本当は、何が問題なのだろう、と。「貴方の立場でどうお考えになりますか?そう、市民として。」

 タイトルにつけた「主体性ある市民」は、塾長の最初の講義(長かった!)で出て来た言葉ですが、本当に難しいですね。
今はただ、どんな内容でも自分に置き換えて考えてみる・流されないよう、誰の言葉であっても鵜呑みにしないで自分でもう一度考えてみよう、そんな風に考えております。


皆様はどうですか?(^○^)                     おわり。



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大前研一の政策学校【一新塾】事務局
Tel 03(3239)0170 Fax 03(3263)4854
Mail: isj@attackers.ne.jp URL: http://www.isshinjuku.com/
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