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    一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
    【第120号】 発行日:2004年3月11日
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【目次】
●【緊急提言】
  『「グリーンピア土佐横浪」の閉鎖に関する経緯と問題提起』
                   深田智之氏(一新塾4・5・6期)
●一新塾入門ワークショップ(3/27)のご案内
●市民が変える!社会が変わる!一新塾10周年記念プレイベント(4/24)
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一新塾ニュース読者の皆様こんにちは。事務局の森嶋です。
最近何かと年金のニュースが巷を賑わせておりますが、今回は赤字垂れ流しの
年金施設の再生に立ち向かった、このメルマガでも何度かご紹介させて頂いて
おります一新塾OBの深田智之さんに登場いただきます。
深田さんは都銀系シンクタンクを脱サラして公的施設の運営請負ベンチャーを
起業しました。「ハコモノ有効利用で地域を元気に!」をモットーに、高知県
須崎市の年金保養施設「グリーンピア土佐横浪」を地域活性化と連動させて再生
する取り組みに着手されています。

この施設は、財団がこれまで毎年平均7000万円の運営赤字を積み重ねてきた
施設ですが2001年12月より深田さんの経営する(株)リゾートコンベンション企画
が管理運営業務を請負い15年度は黒字化の目処が立ちました。
一方、2001年の閣議では2005年度にグリーンピアの廃止が決定。譲渡は自治体が
優先され、須崎市は、その購入とその後の活用方法について議会で検討を続けて
います。グリーンピア土佐横浪継続の条件は黒字化の目処。

しかし、グリーンピア土佐横浪の突然の継続を支持していた梅原前市長の
突然の辞任。そして、3月末での閉鎖発表。
今週末3月14日(日)に現地で『「グリーンピア土佐横浪」署名活動報告と関連
問題勉強会』が開催されますが、一新塾からも9名が参加いたします。
ぜひ、皆さんもこの問題を一緒に考えてください。    


 ■■「グリーンピア土佐横浪」の閉鎖に関する経緯と問題提起
    
                         RCP代表取締役社長
                          一新塾4・5・6期
                             深田智之氏
  現在私達RCPが、2001年12月より管理運営業務を請け負っている大規模年
 金保養基地「グリーンピア土佐横浪(以下、GPという)」は、年金受給
 者に有意義な老後生活の場を提供するとともに、広く勤労者の健全かつ有
 効な余暇利用の場に資することを目的に、当時の年金福祉事業団(現:年
 金資金運用基金)により設置された施設です。

  1999年当時、年金福祉事業団(現:年金資金運用基金、以下、基金)よ
 り運営委託を受けていた高知県(橋本知事)は、再委託先である(財)グ
 リーンピア土佐横浪(出資金の7割が高知県、3割が須崎市、以下財団)の
 累積赤字がすでに10億に迫り、その累積額は増える一方で閉鎖が危惧され
 ていました。しかし、本施設の運営継続を求める地元住民の強い思いを受
 け、存続へ向けた梅原一前須崎市長の辞任をもいとわない決意により、
 2001年7月に収支改善のための民間企業の公募が実施されました。
 
  現在までに、RCPは赤字施設の運営停止、備品等や外注契約の見直し等に
 よるコスト削減、そして地元漁師さんや農園主からの食材の直接仕入れに
 よる土佐横浪らしい飲食メニューの提供、長期滞在プランやホエール&ドル
 フィンウォッチング等本地域ならではの体験・交流メニューの実施により利
 用者数が増加し、2002年度の収益をマイナス2,970万円(対前年比約4,600万
 円の改善)にまで削減できました。さらに、2003年度は1千万円超の黒字を
 見込めるまでになりました。

  単に収益を改善しただけでなく、地域漁協・農協関係者を中心とする地域
 住民との関係づくり及び連携を徹底的に貫いた結果、利用者からの従業員
 サービスへの評価は格段に向上しました。各種マスコミにも取り上げられ、
 本地域の沢山の魅力を情報発信でき、地元の活性化にも成果を挙げられてい
 ます。

【表1:GPの宿泊者数と売上げ】
   ┃ 平成13年度       ┃ 平成14年度 ┃ 平成15年度
       ┃(運営受託年度:12月から)┃(実質初年度)┃ (見込み)
----------------------------------------------------------------
宿泊者数(人)┃          18,282┃    19,864┃23,000
----------------------------------------------------------------
売上げ(千円)┃         266,266┃   260,693┃290,000

【表2:GPの収益の変遷(千円)】
平8年度 ┃9年度 ┃10年度 ┃11年度┃12年度┃13年度┃ 14年度 ┃15年度
    ┃   ┃    ┃    ┃    ┃    ┃    ┃(見込み)
----------------------------------------------------------------
▲67,639 ▲75,690 ▲95,541 ▲44,049 ▲47,574 ▲75,519 ▲29,699 19,000  

  しかしながら、2003年10月10日の財団理事会において、2004年4月以降の
 RCPとの契約を更新しないことが決定されました。RCPの運営継続の条件
 は、2002年9月〜2003年8月の期間の黒字もしくは今後の黒字化の目処が立つ
 ことで、ピークの夏期間中を含めて2003年度の上半期は増収増益であり、条件
 期間の収益は約300万円の赤字に縮小し、年間を通じて1,900万円の黒字の目処
 が立っていたにも関らずです。梅原前市長はRCPによる運営継続を強く希望
 して下さいました。少なくとも、須崎市が購入して、次の事業者が運営するま
 では、施設を閉鎖しないよう「暫定期間として」RCPに運営を委託する方法
 以外、雇用を守り、経済効果を維持し、無駄な施設維持管理のための税金や
 年金を費やさない術は無かったからです。

  しかし、2003年12月18日に前市長が突然に辞職した直後、2003年12月26日
午後、笹岡豊徳前助役(現市長2004年1月25日の市長選に立候補し、他に候補
者が誰も出ないという無投票当選)が突然に「GP」に訪れ、4月1日以降の運
営継続が無いことを通告してきました。

  それまでの間、須崎市では、「GP」を購入(2004年9月以降)した後の利
 活用について事業者を公募しており、2003年12月19日に提案書を締め切り、同
 24日、助役を長とする「グリーンピア対策検討会(構成メンバーは助役、商
 工振興課長、同補佐、総務課長、企画課長、農林課長、水産課長、健康福祉課
 長、生涯学習課長の9名)」に対する提案業者全7社による各社1時間弱のプレ
 ゼンテーションが開催されていました。私達もそのうちの1社として事業継続
 の提案をしていました。

  施設の所有者である年金資金運用基金も、運営継続を強く地元に要請してい
 たようでしたが、それも実らず、基金と高知県によって2004年1月20日に
 GPが3月末で閉館になることがプレス発表されました。財団の理事会からは
 や3ヶ月以上経っていました。

  利活用計画の公募には現在医療・福祉系の3業者に絞られ最終選考が続いて
 いるようです。その提案内容の詳細は審議中ということで公表されておらず
 (2004年3月10日時点)、ホテルと福祉施設の併設案であることだけが新聞報
 道されています。

 ■そこで、以下の4点について私なりに問題を提起させて頂きます

  1.「本来、市長の名義で出すべき11月13日の書類が課長名義で郵送さ
     れたこと」について、市は説明する義務があると考えます。(なお当
    時、梅原一前市長への事前の報告は無く、関係者からの問合せによって
    発覚しました)

  2.GPの購入に際し須崎市は1億円程度しか支出がないかもしれませんが、
    計画当初からの過去20年間で年金資金からは、用地買収費、施設建設費、
    固定資産税、森林維持管理費、大規模修繕費等で150億円超の費用が拠
    出されています。さらに、周辺道路整備や施設運営に直接・間接に多額
    の県税も費やされています。そのようなGPの利活用を、専門家や外部
    有識者が一人も入っていないクローズドな行政幹部9人からなる「グリー
    ンピア対策検討会」だけで決断しようとしたことは、須崎市民のみなら
    ず、国民的にも手続きが間違っていると考えます。

  3.須崎市は2004年9月以降に土地建物を購入して、その後、採択された事
    業者へ賃貸し、事業者が用途転用して施設の活用を再開する予定とのこ
    と。しかし、RCP側から提出された2004年4月から須崎市が利活用するま
    での半年間以上の「暫定期間」においても「GPの運営はできない」と、
    須崎市は市長不在時において極めて短時間(中1日)で結論を出してい
    ます。

  4.財団は約11億円もの累積債務について、借入先の県と金融機関に債権放
    棄を要請することを2004年2月7日の理事会で決議していますが、大きな
    黒字を見込める上半期(RCP提出の上半期予想収益は約2,800万円の
    黒字)の運営継続により、財団とRCPの契約条件次第で、財団の債務
    の削減を図ることは可能であったはずです。しかし、その努力を一切せ
    ずに一方的に契約継続を断ち切ってしまったことは、県民に対する無策
    の罪であると言えるのではないでしょうか。

  以上のように、今回の問題は、現在の日本が抱える問題の氷山の一角かもし
 れませんが、当事者として関わり無念な思いをしただけに、不正を見過ごさな
 いためにも真実を追究しなければならないと考えています。また、他でこのよ
 うな問題が再発しないような仕組みを整えることが、日本の課題のひとつでも
 あると思い、皆さんにお知らせさせて頂きました。

  その他、現国会でも問題になっている公的施設の売却のあり方としても、問
 題もあります。自治体以外の民間企業の中には、1億円以上の金額で譲渡を引
 き受ける企業が存在する可能性があると考えられるからです。
  今週末3月14日(日)に一新塾の方にもご参加頂ける強会をGPにて開催致
 します。

  GPの存続を求めて、地元の方々が署名活動をした結果方向や市議会に提出
 した請願書に関する報告をする予定です。3月末でGPは閉館し残念でなりま
 せんが、今後も主体的市民として積極的に活動して行きたいと思います。
  なお、本文は一新塾森嶋事務局長の呼びかけで集まった勉強会参加者である
 塾生及びOBOGの皆さんが作成して下さった文章に加筆修正させて頂いたも
 のです。
                                以上
 【参考】
  ●2004年1月21日高知新聞
  「グリーンピア土佐横浪 債権放棄要請へ」
   http://www.kochinews.co.jp/0401/040121headline01.htm#shimen1
  ●2004年2月22日高知新聞
  「グリーンピア住民がホテル専業を要望 須崎市政懇」
   http://www.kochinews.co.jp/0402/040222headline08.htm#shimen8
  ●一新塾メールニュースバックナンバーに深田さんの活躍の原稿があります
   http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/merumaga/kn_030415.html
   http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/merumaga/kn_030918.html

        
       



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