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     一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
    【第151号】 発行日:2004年9月9日

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【目次】
●「小布施町・伊那食品現場視察レポート」
                     神山真子氏(第14期生)
≪ 第15期開講情報! ≫
●第15期説明会、9月4日よりスタート!!
「東京・大阪・名古屋・福岡」にて開催。

≪ 10周年記念情報! ≫
【一新塾10周年記念 創設者大前研一講演会】(10/30)
テーマ:『これからの10年!世界は、そして日本は?』
    講演:大前研一(一新塾創設者)
【10周年特別講演 田中康夫知事講演会】(10/9)
テーマ:『地域主権の先端モデルづくり
       〜コモンズから始まる信州ルネッサンス』
    講演:田中康夫長野県知事
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皆さん、こんにちは。事務局の森嶋です。
一新塾では“現場主義”をモットーにしています。塾生はプロジェクトの
テーマを決めたら、まず、現場に赴き五感で感じてから当事者意識を持って、
そのテーマに取り組みます。

今回は、私も参加させていただいた「小布施町・伊那食品」の現場視察の
模様をご紹介いたします。レポートは14期生の神山真子さんがまとめて
くださいました。

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  小布施町・伊那食品現場視察レポート
              神山 真子(第14期生)
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14期政策提言コースの神山真子です。8月22日、23日に行われた
長野県小布施町の町づくり、及び伊那食品工業(株)の現場視察について
ご報告します。

今回の視察は7月28日の講義「小布施流まちづくり奮闘記〜『美日常』
の提起」で講師をされた一新塾6期の木下豊さんが企画され22名が参加
しました。以下、視察報告です。

■現地到着 【8月22日】

13時現地集合に合わせ、長野駅で長野電鉄に乗換えて小布施に向かう。
長野電鉄の線路脇には林檎や葡萄の果樹園が広がり、曇ってはっきり見えな
かったが、線路北西には飯綱、戸隠、黒姫、妙高、斑尾の北信五岳が峰を連
ねている。
 
■ア・ラ・小布施

小布施の歩道は、どこも焼いた栗の木片で舗装され、柔らかくて足が疲れな
い(ヒールの踵は挟まるけど)。人が十分すれ違える道幅があるし、方々に
花が植えられていて、ゆったりした楽しい気分で散策できる。所々にベンチ
もあったので高齢者は助かると思う。途中、和風の落ち着いた建物に入ると、
そこがア・ラ・小布施のガイドセンターだった。センターは喫茶店と売店か
らなり、通り抜けて中庭に出ると、隣に古い土蔵を改修したゲストハウスが
ある。
 
ここのア・ラ・小布施は1993年に小布施町商工会議所のメンバーを中心に設
立された第三セクター(と言っても町の出資比率は4%だけ)の株式会社で、
小布施の町づくりの中心的存在。株主は一口50万円の出資をするが、経営哲
学に「ア・ラ・小布施の出資者は、賃金、労力、アイディアなど、持てる資
源を提供するが、直接の見返りは求めない。 事業活動の成果として、小布施
町全体が向上することの恩恵を、活動に携わった住民として楽しみあう事と
する。」とある通り、配当はない。

ゲストハウスは宿泊施設のほとんどない小布施町では貴重な存在だ。ちなみ
になぜ宿泊施設が少ないかというと、小布施町はあくまで 農業の町で観光
地ではないから宿泊施設は増やさないのだそうだ。その代わり平成15年に
特区認定を受け、農家に泊まる民泊事業を進めている。
→ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/030908/021.pdf
 
■花のまちづくり

食後、先ほどのゲストハウスに行き、説明を受ける。ゲストハウスの隣は
オープンガーデンのお宅で、早速お庭を拝見する。普段他所の家に無断で入る
事がないので少しおっかなびっくりだったが、洗濯物が見えたり、ワンちゃん
がいたり、普通のご家庭の様子が見えて親近感がわいた(もちろん中をじろじ
ろ見ていたわけではない)。お庭もしっとりと水路が流れて、手入れが行き届
いていた。後から気づいたが、小布施は町中に湧くように水が流れていて、歩
いているだけで気持ちが潤った。
 
オープンガーデンについて補足すると、イギリス発祥のこの行事を行政と民間
が共同で行っているのは日本でも小布施町だけで、1980年に自治会が始めた
「町を美しくする運動」が官民一体の「花のまちづくり」へとつながり、その
一環が、町に登録した家庭やお店が庭を観光客に公開するというオープンガー
デンの形になった。

花のまちづくりは、「外はみんなのもの、うちは自分のもの」という概念を町
民が共有し、「自分の家庭のみならず町内街路沿いや空き地にも花を植え、
自主的に管理(オープンガーデンブックより)」される事で進められている。
街路脇で目にした花も、町の人達が自発的に管理しているものだ。他にも花に
ついて勉強できる「フローラルガーデンおぶせ」や、花苗生産施設「おぶせ
フラワーセンター」も建設され、地元の花苗生産農家の育成につながっている。

■町並み修景事業


小布施堂の敷地一帯は、小布施町の町並み修景事業が行われた場所だ。1982年
に小布施町が高井鴻山の隠宅「悠然楼」を記念館にする計画を立てたのを機に、
隠宅隣の民家2軒と、近接する金融機関、小布施堂、小布施町の5者で組合が
作られ、以後8年、「観光地化しない」をモットーに、居住者が快適に生活
できる町を目指し、観光客が増えてもやたらと新しい建物を増やさず、昔の物
を大切にしながら町並みを整えて来た。

現場で強く感じたのは、地元の人が気持ちよく生活できる場所は、訪れた方も
同じように気持ちよく感じると言うこと。単純だけれど、忘れがちな事だ。
観光客の利便性ばかり追及して地元の人の居住性は悪くなり、結局観光客も味
気ない思いをする土地は多いと思う。

■伊那食品工業(株)訪問 【8月23日】

早朝に起きて、バスで伊那へ向かう。伊那食品工業は業務用寒天業界シェア
80%で、46年増収増益の超優良企業。こちらの塚越社長は2004年、日刊
工業新聞社の最優秀経営者賞を受賞された。その経営理念を木下さんが本に
まとめられたご縁で、今回社長のお話を伺う事ができた。

10時頃に会社に到着し、まずかんてんぱぱガーデンを見学。このガーデン
は、社長が社員のために職場環境を快適にしようと、デザインも社員の声を
取り入れながら作ったものだ。周囲には東屋やレストランがあり、一般の人
も自由に利用できる。お弁当を持ってきている人もいた。この庭園は、毎朝
社員さん達が掃除しているそうだ。

塚越社長の経営理念を少しご紹介すると、まず、会社は社員やその家族を
幸せにする事で社会貢献しているという事。そして、会社の目的は永続する
事で、利益追求は手段に過ぎない。だから急成長は戒め、末広がりの成長を
目指すべきだという事。また、会社は公器であり社員は公徳心をもって社会
貢献するべきだという事など。お話では、企業経営にも哲学を持つことの
大切さ、成果だけで評価せず、個人個人の努力を認める事などが印象に残った。
お話の後はレストランで寒天づくしのお料理を頂いたが、バラエティに富ん
だお味でおいしかった。
最後に書いてみると、小布施の町並みに色々な人の信念が込められていたのを
改めて感じました。また是非訪れてみたいと思います。
お世話になった皆様ありがとうございました。
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★HPに視察体験記UP!!
視察ツアーに参加した14期生の新木さん、相川さんが中心となって
詳細な視察レポートをまとめてくださいました。
雰囲気がとてもよく伝わる力作です!ぜひ、ご覧下さい。
http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/ev_hokoku.html
   

 



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