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     一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
    【第221号】 発行日:2005年11月30日

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目次 : 『草の根経済で地域を活性〜夢と誇りは国境を越えて〜』  
                        一新塾代表理事 片岡 勝

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
11月21日〜23日に第16期生の辻勝さんのコーディネートで一新塾有志6名で
島根県大田市に現場視察へ行ってきました。

さて、百万人いるといわれる「都市と田舎に住まいを持つ」二地域居住者
は2030年には1070万人と十倍に増えると予想されています。この二地域居住
では、単に「田舎暮らし」を楽しむだけでなく、地域の問題解決の力になら
ないものかと片岡勝さん(一新塾代表理事)による「田舎で仕事作り」プロ
ジェクトが誕生しました。最初の舞台は、片岡さんが雇用創出の本部長を務
めている島根県大田市です。そして、成功事例を作ったら、その他の地域に
も広げるために一新塾にそのノウハウを蓄積していきます。

2007年には石見銀山が世界遺産に登録される予定ですが、この好機を捉え
島根県出身の岩崎弘治さん(6期)が、海外とのビジネス経験を活かして、
地域の物産を海外の目で開発するアドバイスや、温泉津と言う温泉街を海外
の人が来るようにできないかと地元の若者と地域をデザインする「温泉津社
中」を起業しました。

視察後、片岡さんは、タイの国際会議に招かれ出席をされました。
タイでの国際会議を通じての「草の根経済で地域を活性」への思いをレポート
いただきました。

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■    草の根経済で地域を活性 〜夢と誇りは国境を越えて〜

 ■□■■□■■□■■□■■□■■□■ 一新塾代表理事 片岡 勝


  タイのタキシン首相の演説は40分、原稿なしで行われた。
  「我々の国・タイが大国インド、中国と隣接しながら生き残る道を模索
  してきた。それが草の根経済の活性化と成長経済のバランスある発展だ」
  と力説した。1997年の経済崩壊から立ち直るために「かつて通った
  同じ道」は取らない、と選択した、と言う。高度経済成長、工業化にのみ
  依存する経済ではない、地方を勇気つける様々な政策を紹介した。

  私が、今、島根県の大田市を中心に「草の根経済の活性による雇用創出」
  とまったく同じ試みが、ここタイで行われていた。タクシン首相からの
  招待状が私に届き、空港に降り立つと、そこには既に「草の根経済で地域
  を活性」の看板が目立つ。空港から会議場へ行くハイウエイからも看板が
  見える。本気で政府が行っている国際会議に招かれたことを実感しつつ
  会場へ、早速、登録を済ませた。夜は公邸に招いての晩餐会で首相がホスト
  を勤めるなど首相自ら大サービスだ。

  地域の問題解決スキームの鍵は「自立」と位置付ける。
  そして、まず、問題を持っていると思っている国民に登録を薦める。
  170万人を超える人が登録し、150万人が話し合いの結果、自分で問題
  解決の道を見つけたという。「いつでも話を聞く」という姿勢が大事だ。
  誰かが聞いてくれる、それが困った人々を元気付ける。

  次が、自立のための様々な仕組みだ。コミュニテイーレベルでの問題解決
  を話し合う「都市と田舎を結ぶ会議」が各地で組織され、都市と田舎の協力
  が話し合われる。格差が最大の問題なわけだから、そこが話し合って直接的
  に解決案を考え出す。島根県でも行っている雇用創出の鍵のひとつ「都市と
  つなぐ」という機能だ。ここで話し合われた結果、必要とされるプロジェ
  クトには政府からお金がでる。いわば、今回、私が行っている雇用創出
  パッケージ事業だ。

  そして、自立のための仕事作りの仕組みが用意されている。
  これは私が作りつつある雇用創出スキームに似ているが、それを政府自らが
  行っている。

 1、移動カーによるインキュベーションの相談機能。
    いつでも、こちらから行くという姿勢が大事だ。
  2、市民銀行からの融資
  3、融資された事業から創られた「一村一品」
    (空港でも目に付くOTOPショップがそれ)を海外も含めた市場に売る

  これらの機能を通じて、自立のための仕組みが出来、自分たちで問題を
  解決する努力を国民がするようになった、とタクシン首相は胸を張る。
  なんと、私が島根県で行っている地域の問題解決、生きがい作り、継続的な
  自立事業という雇用創出事業と似ているではないか。大事なのは夢と誇り。
  自分たちの地域には大事な伝統と財があるという誇り、そして、努力すれば
  将来があるという夢なのだ。

  タイの首相が私を招いてくれた理由が最初は分からなかったが、こういう
  ミッションと手法で、今度はアジアをネットワークしようという呼びかけ
  だったのだ。世界からトムヤンクン経済危機と言われ、IMFからの支援も
  受けざるを得なかったタイが自信を取り戻しつつある印象を持った。

  一方、日本では勝ち組は自信をつけ、負け組みは切り捨てられる政策が
  採られているように思う。縮小する財源ですべてのひとを救うことが出来
  ないなら、せめて、夢と誇りを取り戻す試みを地域から作り出したい。
  私の「地域から日本を変える」試みをアジア諸国の地域と連携して行う
  イメージが明確になった。テーマと手法は国境を越える。50カ国から出席
  していた自立経済を目指す人々とのネットワークが新しいコミュニテイー
  を形成するに違いない。



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