2010/02
/16 【一新塾ニュース】第409号:
塾生活動レポート
『 明るい水産業を創る 〜岡田浦漁港視察』


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          一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
          【 第409号 】 発行日:2010年2月16日
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■ 塾生活動レポート
            『 明るい水産業を創る 』
             〜岡田浦漁港視察〜

                一新塾第25期「大阪」地域科 白川光弘

■【参加者募集】「第26期説明会」2010年5月30日(日)開講
       → http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

   東 京: 4月 7日(水) 19:30〜21:30
         4月10日(土) 15:00〜17:30
         4月14日(水) 19:30〜21:30
   大 阪: 3月20日(土) 13:30〜16:00
   福 岡: 3月21日(日) 13:30〜16:00
   名古屋: 3月22日(月祝)13:30〜16:00
   沖 縄: 3月25日(木) 19:00〜21:00
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  メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
ここ数年、私は毎月一回、名古屋・大阪・福岡に伺わせていただいています。
そして、地域科の塾生の皆さんと顔を併せ、一回平均5〜6時間のプログラムで、
講座・ワークショップ・プロジェクトコンサルティングに取り組ませていただ
いています。1月は京都で3地域合同の地域科合宿でした。2月は先週末に
福岡に。今週末は大阪、名古屋です。

  加えて、地域科では塾生自らが持ち回りで企画・実行する現場視察を
毎月一回実施しています。塾生自らがテーマを設定し「まちづくり」
「商店街再生」「フリースクール」「障害者スポーツ」「漁港」など、
12月からの3ヶ月で様々なテーマでの現場視察が実施されています、

 今回は、昨年11月に第25期に入塾された「大阪」地域科の白川光弘さん
の熱い現場視察体験記をお届けいたします。ぜひ、じっくりご覧ください。

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■■■■ 塾生活動レポート
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■■           『 明るい水産業を創る 』
■■             〜岡田浦漁港視察〜
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■■■■                  一新塾第25期「大阪」地域科
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  水産を志し大学で学び、大阪市中央卸売市場の水産物卸売会社に就職した。
以来20年以上勤務し、良い時も悪い時も経験した。
 ここ3年程は、営業を離れているが、改めて業界を見渡したとき、地方の
規模漁業者の衰退、資源の減少が気になり始めた。
 一方では、魚離れが進んでいる。消費者の食生活の変化、魚の調理に起因
する主婦の魚離れ、骨があることに対する抵抗感、などによって魚の消費は
減少してきている。

 これまでの私は、会社の業務にかこつけて、業界の窮状には目を背けてきたが、
生産と消費の両方の場面で、水産の衰退が進むのを目の当たりにして、自分が
親しみ、今や飯の種とまでなった水産業が衰えていくのはたまらなかった。
 
 きれいで豊かな海を取り戻したい、そして豊かな海の恩恵を受け、漁業者が
豊かな生活をできるようにしたい。
 今現在も中央卸売市場で働く私は、生産と消費の流通の中心点に存在し、
生産の現場で起こっている事、消費の現場で起こっている事の両方を身近に
感じる事ができる。
 こういう立場にいる私だからこそ、水産業の事を真剣に考え業界の仕組みや
考え方を変えていく起点になりたい。これまで何もしてこなかった事への
罪滅ぼしであり、自分の転換点である。そのころ一新塾を知り、1年以上
悩んだ末、昨年11月に25期大阪地域科に入塾した。

●水産業界の現状

 農業、林業が抱える問題と同じ事が水産業でも起っている。収入の問題、
高齢化による後継者の問題。そして「魚離れ」による消費の後退。米や野菜
で起こっている事と同じだ。何か役に立てる事ができないか。頭の中を
グルグル回っている思いを確認するため、現場視察を行った。自分の考えて
いる事や、本やテレビで得た知識が正しいのか。

●早速、現場視察へ!

 昨年末、「漁港を見に行こう」と大阪地域科の同志に現場視察を提案した。
興味を示してもらえるのか心配だったが、すぐに有志は集まった。現場は、
関西空港を間近に望む岡田浦の漁港だ。

 当日は、朝10時から、漁協の職員の方、漁協青年部長、前青年部長の3名
に漁協の現状や、大阪湾の資源状態を話していただいた。

●岡田浦漁協の現状

 現在、漁協の組合員は70名ほど、35〜45歳が多くまだまだ現役バリバリの
漁業者が多い。若くて活気のある漁港なのだが将来については不安を持っていた。

「若い人は、ほとんど入ってこない。」
「自分の子供に後を継げとは言えない。」
「資源はどんどん減ってきている。」
「温暖化の影響か、獲れる時期や、量が変わってきた。」
「物価や経費が上がり、一方で魚の値段は下がり本当に大変だ。」

 漁業者の口をついて出るのは、漁業の将来に不安を感じている言葉が圧倒的
に多い。事実、大阪湾の魚は年々減っており、昭和60年ごろ10万トンあった
漁獲量が近年2万トンまで落ち込んでいる(魚種によっては10分の1)。
関西空港建設、湾岸の埋め立てにより魚の住む場所、産卵する場所が奪われ、
海流の流れも変わり、豊かだった昔の海の面影はない。
やはり、漁業者は苦しんでいる。

●現場で知った新しい事

 反面、上手く行っている事もあった。日曜朝市だ。近隣の漁港でも行って
いるが、都市圏に近い事もあり毎週日曜の朝は、買い物客で賑わう。新鮮な
大阪湾の魚が格安で手に入る。漁協は、漁業の収入の減少をいくらか補う事が
できる。また、地引網や体験漁業も家族連れに人気らしい。漁業者たちは
自分たちの手でできる事を始め、成功事例を積み重ねていた。なんだか、
自分の出る幕はないのかと感じ始めた。

●理想の水産業を目指して

 本当に私にできる事はないのか。いやいや、そんなことはない。
 朝市、地引網、体験漁業、海鮮バーベキュー。みんな目の前の海の幸だ。
やはり、資源の回復が欠かせない。豊かな海で魚を獲り生活してゆく、
そして自然に子供たちが跡を継ぐ。若者たちが集い、新しい力となって漁港
を盛り立てる、そういう風景が見られるような水産業を目指したい。
 水産業の未来のために、資源を回復させ、魚食の普及を図る事で収入の安定
を目指せないものか。日本の沿岸漁業が元気になってこそ、水産業の未来は
あると考えている。

●今後の私

 私は、魚食普及、食育の活動を漁業者と共に進めて行こうと考えている。
そして販売価格の維持向上を目指し、漁業者の生活の安定を助けて行きたい。
資源回復のため、漁業者と共に考え漁業者の声を行政に届ける役割を果たして
行きたい。どちらもすぐに効果の見える事ではないが一新塾の同志の力を借り
ながら、進んで行こうと思う。

 そのためにも、まずは漁業者の実態を調べ生の声を聞いていきたい。
新しい販売のルートを開拓したい。大消費地大阪を前に地元ブランドを生かして
いきたい。そして、資源回復のための活動をしていきたい。

 私がやりたいのは、消費者の魚離れへの挑戦であり、沿岸漁業を復活させる
ことである。そして、生産者、消費者が共に豊かになる水産業を目指す。

 現場視察で「びっくりしてる。君たちの様な外の人が漁業の心配をして
くれているとは思わなかった」と言われたが、私たちの想いが伝わったのかも
しれない。この想いを大事にして自分の原点にしたい。


 


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