☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆
 一新塾ニュース ~今のニッポンを変えろ!
 【 520号 】 発行日:2013年2月6日
☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆

■ 塾生活動レポート

 『日本文化をロスジェネ世代につなぐ』
           一新塾第27期・29期 本科 堀田卓哉

■【参加者募集】32期「一新塾体験ワークショップ&説明会」

======================================
 メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
 今回は一新塾第27期・第29期の堀田卓哉さんのメッセージをお届けします。堀田さんは27期在塾中の2011年9月に株式会社Culture Generation Japanを起業され、日本文化をロスジェネ世代につなぐために日々、奮闘されています。

 昨年は、東京都美術館との協働プロジェクト「Tokyo Crafts & Design」で伝統工芸の職人とデザイナー10組のマッチング、新商品をプロデュースされました。

 志を生きる堀田さんの熱き思い、じっくりご覧ください。

塾生活動レポート〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『日本文化をロスジェネ世代につなぐ』
   一新塾第27期・29期 本科 堀田卓哉
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 私のミッションは、「私たちロスジェネ世代で、日本文化をしっかり継承する」ことです。そして、そのミッションをまい進することで、若い世代が日本文化を身近に感じ、誇りと思える社会の実現を目指しています。

●世代間でバトンが受け渡されない現状

一新塾27期堀田卓哉さん 私たちの周りには、素晴らしい文化や伝統が沢山あります。しかしながら、日本文化を支えてきた大切な“土壌”の1つである手仕事職人の多くは、販路減少、後継者不足に悩み、廃業の危機に瀕しています。職人の方に話を伺うと、「息子に家業を継がせたいと思うが、今の状態で家業を譲るのは可哀そう。」という声を聞く機会が多くあります。

 一方で、若い世代では、経済低迷の中で「日本に明るい未来がない」という漠然とした不安感を抱き、日本の文化・伝統・工芸・芸能といったものへの関心が、どんどん薄くなっているように感じます。世代間でのバトンが受け渡されず、このままでは消えていってしまう文化や伝統が数多くあるのが社会の現状です。

●ロスジェネ世代の苦悩と可能性

私は1977年生まれのロスジェネ世代です。私たちの世代は、就職氷河期の被害を最も受け、非正規雇用増大のリスクを最も引き受けた世代と言われています。就職氷河期で自信を喪失してしまった仲間も沢山いました。私も60社以上の会社に落ち続け、自分、そして日本の将来を悲観的に考えるようになりました。

「このまま日本にいてはダメだ。日本ではなくグローバルに活躍したい!」という想いを抱き、アメリカ、そしてヨーロッパへ渡りました。そして、外国の友人から日本文化や日本人の国民性が高く評価されていることを知り、初めて「日本人としての自分」を誇らしく感じることができました。

 そして帰国後に、居を構えた浅草にて知り合った同世代の職人が、「何百年と続いている伝統を俺らが終わらせるわけにはいかない。俺らの仕事は文化・伝統を受け継いで、より良いものとして次世代に引き継ぐことだ」と言いました。
この一言に、私は痺れました。彼の姿が、強烈に輝いて映りました。なぜならば、自分が探していた日本人としての誇りを感じることが出来たからでした。一方で、「新しいことに挑戦したい」「世界で勝負したい」と思いながらも、既存のビジネスの枠から出ることができないもどかしさを職人の皆さんが持っていることを知りました。

 私は経営コンサルタントとして、海外市場への進出、また企業再生の仕事を10年にわたって手がけてきていました。同世代にも、就職活動で苦悩した影響か、組織に頼ることなく、自らの専門性を高めている仲間が多くいます。
「もしかすると、自分たちの持つ「専門スキル」と、職人たちが持つ「日本人としての誇り」を組み合わせることで、WIN-WINの関係となれるのではないか?」、そんな可能性を感じるようになりました。

●一新塾との出会い

 一新塾との出会いは友人からの紹介でした。プロジェクトをスタートするきっかけを探していた自分は、その場で入塾することを決めました。入塾後は、素晴らしい同期の仲間に恵まれ、順調にプロジェクトの立ち上げへとこぎ着けました。

 しかし、プロジェクトを進めれば進めるほど、「自分の本当にやりたいことは何なのだろうか?」「この事業を起こす必然性、“自分だから”のストーリーはあるのか?」「自分に何が出来るのか?」と、人生を振り返り、ミッション・ビジョンを深掘りすることに苦しむ毎日でした。

 一方で、自分のミッションを同期生の前で語る度に覚悟が深まっていきました。自分たちでイベントを企画し、「イベントチラシをおいて下さい」と色々な施設へ、お願いに回りました。以前の自分なら「格好悪い」と避けていたことも、自然と体が動いていました。自分のミッションに共鳴してくれたチームメンバーからの叱咤激励、同期のプロジェクトリーダーたちからの刺激を受け、自分の 「根っこ」は、いつの間にか深くなっていきました。

●Culture Generation Japanの設立

 そして、卒塾目前の2011年9月に
株式会社 Culture Generation Japanを設立しました。
一新塾27期堀田卓哉さん起業のプレゼンテーション職人と共に歩み、文化・伝統を次世代へつなぐことこそが、同世代の再生、ひいては日本復活の鍵であると信じ、「文化を受け継ぐプラットフォームの構築」に向けて活動しています。
Culture Generation Japanホームページ
【WEB】http://www.culgene.jp/

●職人とロスジェネ世代の懸け橋として~
Tokyo Crafts & Designのマッチング事例から

 会社設立後は、色々な方の支援のお陰で、ミッションを果たすべく事業を前に進めることが出来ました。東京都美術館との事業である「Tokyo Crafts &Design」では、無事に職人とデザイナーとのコラボレーション商品10点が完成し、販売を開始することができました。私は、事務局としてプロジェクトマネジメントを実施し、職人とデザイナーの商品開発の伴走者としての役割を果たしました。

 職人とデザイナーのマッチングの軌跡は、至るところにドラマがあり、ものづくりの面白さがギュッと詰め込まれていました。
Tokyo Crafts & Design発表会

 マッチング事例を1つ紹介させて下さい。
(職人は60代男性、デザイナーは同世代の30代女性です。)

 デザイナーの方は、色々なコンペに挑戦するも落選続き、まだ商品化の実績はありませんでした。職人は「こんな経験の無い若い人で大丈夫なの?」と不安を抱きながら、商品化プロセスをスタートしました。プロセス初期は、両者間でコミュニケーションが円滑に機能せず、職人は「技術を知らないで、デザインするなんて無理だ」と私に愚痴をこぼす状況が続きました。

 ある時に、デザイナーが朝から晩まで工房に篭って、職人と一緒に制作を行いました。それをきっかけにして、状況は一変しました。今まで態度を硬化させていた職人も「若い人を育てていこう」との意識に変化しました。デザイナーも自身のデザインセンスを優先する姿勢から、伝統の柄や色を重視する姿勢へと変わり、不安げな表情は、徐々に自信に溢れたものへ変わっていきました。
そして、2人の真の協働が始まりました。その成果として、伝統技術を活かしながら現代のライフスタイルに合った名品を生むことが出来ました。ロスジェネ世代のデザイナーが日本文化の伝道師に変わった瞬間でした。今後も、このような事例を多く創出することに関わっていきたいと考えています。

Tokyo Crafts & Designホームページ
http://www.tokyo-crafts-design.com/

●民族衣装「きもの」の復権

 また、日本文化の重要な一部である「きもの」に対する取り組みを始めています。余り知られていませんが、すでに着物の仕立ては60%以上が中国やベトナムで行われています。「日本のきもの産業は早晩、全滅するんじゃないか?」そんな予測も現実味を持って語られるようになっています。

 きもの産業が抱える問題は大きく3つあります。
1.きもの離れ
 ~生活習慣の変化、着物を着用する機会の減少、高額商品化
2.価値観の崩壊
 ~情報発信量の不足に起因する消費者側の「見る目」の喪失
3.旧態依然のビジネスモデル
 ~制作者と消費者の遠い「距離感」

 昨年来、「きもの離れ」という問題に対しては、自分で着物をきるための「きもの着方講座」を新宿区の後援を受けて展開しています。従来の着付け教室のような販促活動の一環としてではなく、装具や用品を使わずに、昔ながらのおばあちゃんの着方「手結び」手法を伝えていきます。

 また、地元浅草でのDJ×きものイベント、ワイン×スイーツ×きものイベント、といった今までに無いアプローチから同世代向けの「きものイベント」を開催しています。

 今年は、2と3の問題に対してもアプローチを始める予定をしています。「きもの」は、成り行きで存続する状況では最早ありません。中国とベトナムで仕立てられ、90%以上の日本人が自分で着られない、今のままの「きもの」産業に未来はありません。活動をすればするほど、「“今”“私たちが”継承しなければいけない」という想いが強くなっています。

●おわりに

 最後に、一新塾で出会った全ての仲間に感謝をさせて下さい。表面上の付き合いではなく、いつも本音で話し合え、本質を捉えた議論できる仲間との出会いによって、私はここまで成長することができたと思っています。今後も互いに切磋琢磨して、ミッションを果たせるよう全力投球していきたいと思います。また、そのような仲間に出会えた場である一新塾にも深く感謝をしています。今後も、
自らの志を見つけ、志に生きる塾生が多く生まれることを期待しております。

一新塾 塾生募集中

< 一新塾 プログラム概要 >ーーーーーーーーーーーー
◎期 間:12ヶ月
    『多彩な社会のテーマ講義』
    『プロジェクト立ち上げ実践の支援』
    『コンサルティング』
     平日夜間・土日で学びます(月4~5回程度)
◎コース:政策提言コース
     社会起業コース
     市民プロジェクトコース
     ※3つの方法論のすべてが学べます。
◎ 科 :本 科(東京)
     地域科(大阪・名古屋・仙台)
     通信科
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一新塾ニュース「今のニッポンを変えろ」のページに戻る