一新塾ニュース  第38号
「(留学×一新塾) を第一歩として」

小池 政成(第8期 通信科)

私が4年間勤めた会社を辞め、米国の大学院に進学を希望した理由は至って単純です。そしてそれは5年前の就職活動時に考えていた内容とほぼ一貫する「広い世界で自分の視野、可能性を広げたい」という事でした。但し今回は一点だけ異なった点が追加されており、それこそが私の留学先をワシントンDCに決定させ、一新塾への入塾を決意させたものだと思います。

今考えると会社員時代は恵まれていたのかも知れないと思うときがあります。勤務時間を考えるとそうは言えませんが賃金等の待遇もそれ程悪くはなく、ビジネス及び社会人としての基礎を身につける事ができました。但しその一方で、自分がここで一個人、一企業の利益を超えた大きな夢を描く事ができるのか、自分の仕事に社会性はあるのかと問われると、おそらく答えられる事はできなかったでしょう。

実はこの事を考え始めたきっかけの一つに、「大前研一敗戦記」という塾長の著書があります。氏がコンサルタントを辞め知事選への立候補を決心した理由として、夫人からの「あなたの仕事に社会性はあるですか」という問いかけを挙げています。また、氏の落選後の心情を描いた記述に私は驚くとともに心を動かされました。氏ほどの高い志を持った人物に「私の考えていた事、行おうとしていた事は実はひとりよがりだったのではないか」と思わせてしまう社会の風潮、構造を我々の世代が何とか変えていかなければ、と考えたのです。

そこで私はまずより広く客観的な視野を養うために、民主主義の一つのモデルである米国の首都ワシントンDCへと飛び立ちました。日本の報道を通してだけでは窺い知る事のできない米国の国内・外交政策の大局観を学ぶためです。

周知の通りDCには政府機関のみならず政策決定に係わる機関が無数にあり、政策形成に競争原理を導入しています。また特筆すべきはそれらの機関の多くにインターンという形で全米そして世界から学生が実務を通して学びに来ている点です。ビジネスに比べると決して良いとは言えない条件下、修士、博士号まで取得して働こうとする人間の多さ、そして彼らにモチベーションを与え続けられる事のできる社会構造がこの国の強さを支えているのだと感じました。

また、この自転車でもあれば一時間で廻れてしまえるような地域に志を同じくする多くの学生、専門家が集まっているという事は、自らが行動を起こせば新しい考えを吸収し人脈を拡大できる機会は無限にあるという事でもあります。私の大学院内及び近くのシンクタンク等でも連日何かしらのセミナー、フォーラムが開催されています。しかもそのほとんどは事前の連絡さえ行えば誰でも無料で参加でき、政府関係者や他国からの要人等を含む実際の政策担当者の見解が、授業を通して学んだ私達のアカデミックな知識を検証してくれます。

そしてこの貴重な機会を通信科の活動と融合させたときに、より大きなシナジーが生まれるものと私は確信しています。例えば青山貞一氏の講義ビデオを観た後で米国議会政治との比較をしてみたり、前回のレポート作成過程では在米大使館職員やジャーナリストに話を伺ってみたりもしました。日本の情勢をKeepupする為だけでなく、常に問題意識を養わせてくれるのが私にとっての一新塾の役割です。自国の政治経済状勢、歴史文化に精通し問題意識を持つという事は、このグローバル社会の中で特に大きな価値を生み出すものであると改めて感じて始めています。一方的に吸収するのではなく、私達の観点からの考え方を理解してもらうよう努力する事も留学生の役割であり、これからの日本のあり方なのではないでしょうか。

どのように、いかに早い段階で行動に移していくかという事が課題ではありますが、海外通信科生として異なる文化、時間と空間の中でその情報と経験をつなぎ合わせる事により、一新塾が掲げる自立的に社会を構築する「主体的市民」そして「主体的世界市民」を目指し、夢のある社会の実現に寄与していけたらと願います。

小池 政成(Mail Address: k-nari@rc4.so-net.ne.jp


■編集室より

小池さんの身近に志を同じくする方がたくさんいらっしゃるということは本当に素晴らしいことだと思います。仲間がいるからこそ、互いに自己を切磋琢磨していけますし、いざ、行動を起そうという時はその仲間が同志となりますね。
小池さんのお知り合いになられたワシントンDCの学生・専門家の方々との活動と一新塾の活動を融合させ大きなシナジーを生み出していきましょう! (森嶋)

 

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