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      一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
     【第162号】 発行日:2004年10月29日

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▼目次
■「現場を知る〜太田市視察体験記」 
                  井口正富氏(一新塾第14期)
■ イベントのお知らせ
(1)10月30日:10周年記念講演会 大前研一氏(一新塾創設者)
         「これからの10年!世界は、そして日本は?」
(2)11月 8日:塾生企画シンポジウム
         「ハコモノ再生で元気なまちづくり!」

15期説明会 申込みは下記をクリック!
http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
第15期開講まであと9日と迫ってまいりましたが、新たに長野県南佐久郡
南相木村で、地域医療を実践されるととともに、外国人HIV感染者・発症
者への「医職住」の生活支援、帰国支援を行うNPO「アイザック」の事務
局長としても活動を続ける色平哲郎医師に講師にお越しいただけることが
決定いたしました! 色平医師は今回の新潟県中越地震への対策についても
いち早く提言をされていらっしゃいます。ぜひご覧ください。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/niigatajishin/etc/20041026_2.html

さて、今回は第14期で在住外国人問題をテーマにチーム活動に取り組まれて
いるの井口正富さんによる現場視察レポートをお届けします。
11月6日の第15期入塾式では、14期生の現場視察報告と13期生の政策
提言・事業計画の最終プレゼンテーションの機会も設けています。

一新塾生の活動レポート ◇■■■◇■■■◇■■■◇■■■◇■■■◇
       現場を知る〜太田市視察体験記
◇■■■◇■■■◇■■■◇井口正富(一新塾第14期 政策提言コース) 


この度、一新塾メルマガに投稿に機会を戴きました。そこで、塾のチーム
活動における現場視察の意義について考えると共に、私の所属するチームの
活動についてレポートしたいと思います。
 
私は、現在塾において数人のメンバーと共に、我が国在住の外国人問題を
テーマに活動をしています。このテーマは、現在的には我が国に住む2百万人
の外国人の生活実態はどうか、将来的には我が国の外国人受入れ政策はいかに
あるべきか、また視点を変えればこれら外国人と向き合う我々日本人はどうあ
るべきか等、多岐に亘る問題を包含しています。 

そこで、チームでは現在、これら複合する問題をマクロ的に把握すると同時に、
我々の取組む具体的分野をどこに絞るか、検討を重ねている所です。メンバー
の皆さんは仕事を持ち多忙な中、時間を捻出しながらチーム活動に参加してい
ます。従って、十分な活動時間を取れる状況にはありませんが、それでも私は
出来る限り全員参加の協働スタイルで活動を進められればと考えています。

塾では、現在14期塾生のチーム活動に対して、現場視察を行うよう指導してい
ます。我々のチームもそれに沿って、現場訪問を実施し、また計画しています。
日頃塾の諸活動を見ていて、どちらかというと議論が先行しがちだと感じてい
ます。その結果、場合によってはチームの活動がテーマの原点である現場の実
態とかけ離れた方向に進む危険性を孕みます。それを避ける為に事務局は現場
視察を促しているのだろうと私は考えます。もちろん、チームのメンバーが現
場訪問を通じて、一体感を共有するチャンスも期待できますが。

ところで、私は、嘗て20数年に亘って、商社マンとしてビジネスの世界で生き
てきました。この間いつも意識していたことがあります。それは、「現場を知
る」ということです。その為に現場訪問を重ねました。当時と現在の体験を通
じて、私はビジネスでも市民活動でも「現場を知る」ことは共に極めて重要で
あると感じています。おそらく、「現場を知る」ことはビジネス、市民活動に
限らず、あらゆる活動に共通する価値観ではないかと感じます。

では、なぜ「現場を知る」ことがそれほど重要なのでしょうか。 私は、現場
とは、「ある事象が起った場所、活動が行われている場所」と考えます。そし
て、現場には様々な事実が存在し、その事実から情報が得られます。

そして、我々はある活動を行う場合、これら現場から得られる情報に基づき構
想したり検証したりしています。例えば、商社という流通業であれば、消費の
現場、生産の現場、物流の現場等々、様々な現場が存在します。日々の商業活
動において、消費者のニーズ、それを満たす製品価格、品質、数量、納期、
またそれに生産部門が対応できるか、物流体制は万全か等々、ビジネス構築の
為の判断材料の殆ど全てが現場に存在します。

また、構築したビジネスが構想通り進展しない場合、検証の為に現場を訪ねます。
そして、現場から得られる事実情報から原因を突き止め、ビジネスのスキームを
修正、再構築します。この様に、「現場を知る」ことはあらゆる活動の原点とな
るべき事実情報を得ることに繋がるから重要なのだと思います。 

話を我々のチーム活動に戻します。我々がチーム活動を開始した頃、太田市の
清水市長が塾で講義をされました。太田市は、外国人集住都市として、また
行政の対外国人理解、サービスが先進的な自治体としてよく知られています。
清水市長の講義後、私は直ちに同市訪問を要請、市長から快諾を得ました。

その後は、様々な文献を読み、この分野の識者の話を聞き、そして太田市の現
状把握に努めました。そして、塾からチームのメンバーを含む4名が市役所を
訪問しました。先方は、企画部長初め計5名の方々が応対、我々の質問に対す
る回答を含め、2時間半に亘る時間を割いてくれました。実に有意義な訪問で
した。 

振り返ってみると、上記の太田市訪問に当たって、私はビジネスマン時代に留
意していた諸点を実行したことに後で気付きました。その事で、今回の現場訪
問が実りあるものになったと感じています。それらを参考までに御紹介します。

(1)訪問の目的を明確にする。
(2)訪問の前に、事前準備を怠らない。
(3)訪問の目的と質問事項は、事前に相手に投掛けておく。
(4)訪問に際しては、目的のみに固執せず、それ以外に新たな発見がないか
   注意する。
(5)訪問後は成果と課題を同行メンバー他関係者と共有し、併せて出来る限り
   訪問先に伝える。

上記訪問後、チームに戻って色々議論する中で、ある進展が見られました。そ
れは、メンバーの一人が富士市の在住者で、太田市関係者から貰った資料の中
に、富士市も外国人集住都市である旨の記載を見つけたのです。

彼は、富士市民でありながら、それまでその様な事実を知らず、今回の現場訪
問で初めて認識した事に衝撃を受けたようです。その後、直ちに市長に書信を
送付、富士市の外国人対応について質問を投げかけました。市長から返事が届
き、彼は更に担当窓口を訪ね、富士市の実態が太田市と比べてかなり遅れてい
る事実を認識しました。そして、現在は我々のチームが同市を訪問する計画を
立ててくれています。

一方、私は太田市訪問までは、外国人の労働問題に関心を持っていました。
しかし、訪問後は教育問題が喫緊の課題と認識し、個人の活動分野を教育に転
換した上で、その後更に3回、太田を訪問しました。そして、この間特区申請
対象校である旭小学校(現在、53名の外国人児童が就学、太田市のバイリン
ガル教師採用特区対象校)とピタゴラス校(ブラジル学校で、現在約230名
のブラジル人小中高生が在学)も訪ねました。また、外国人子弟の教育問題に
ついて、太田市職員と意見交換を重ね、個人的な提案も行っています。

今後は他の自治体訪問を考えて行きたいと考えています。 以上が現場視察に
関する私の見解と、我々チームの体験談です。
皆様の活動の参考になれば、幸甚です。
  



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