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        一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
         【第229号】 発行日:2006年2月22日
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
さて、昨年より編集を進めておりました一新塾本の最新刊
  『一新力』 (いっしんりょく) がいよいよ発売になります!
一新塾6期生で長野県小布施町で編集業を営む木下豊さんの出版社「文屋」
からの出版です。

“一新力”とは、これまでの旧い自分と決別し、
新しい自分に生まれ変わる力です。そして、この力こそが新しい社会を
創造していく原動力です。

今回の書籍は、“一新力”に目覚め、新しい社会創造に挑む全ての方の
ためのバイブルとなるよう塾生・卒塾生有志の編集委員とともに、
一新塾11年間の知恵を結集し総力をあげ編集した自信作です。
3月8日頃より店頭に並ぶ予定です。
ぜひ、お手にとってご一読ください!

さて、今回は「一新塾講義ノート」といたしまして、ベンチャー起業家
川合アユム氏による講義「非常識な組織づくりが会社を強くする」の
講義録をお届けいたします。

一新塾講義ノート______________________
 
川合アユム氏(イーディーコントライブ株式会社創業者)

     テーマ「非常識な組織づくりが会社を強くする!」その1
______________________________

※21歳という若さで「イーディーコントライブ株式会社」を起業、
  “ハイテクベンチャーの旗手”として、ひたすら成長するために猛烈に働き、
  「トップダウン」の組織運営をされていた川合アユムさんが、
   ワンマンのままでは会社は続かないことに気づき、
  独創的な経営システム 「プロジェクト・ドライブ制度」を導入するに至った
  経緯を、具体的なエピソードを交えながら語っていただきました。
  常に自分をオールクリアし続ける姿勢を、川合さんのお話から感じ取って
  いただければ幸いです。

●超カリスマ経営者として

会社を始めて、どんどん事業はうまくいっていきました。
でも楽しくない。でもまたモヤモヤが出てきました。
なんだか楽しくない。自分でも説明ができなかった。

当時の自分はどのような経営者だったかというと、超カリスマ経営者でした。
発案から営業、資金繰りまで1から10まですべてやっていました。
自分の能力を超える仕事をしていたように思います。見えないものがみえたり
してくるわけです。これで、自分は間違わずにやってゆけるのかと。
売り上げを拡大してゆかないとバランスを保てない経営状態でした。
こんなんでいいんやろかと、このまま拡大していってもいつかは限界が
くるのではと。 拡大には安心感はあったけど。何か不安を感じ始めました。

拡大する理由は、社員に給料をたくさんあげたい、
それがみんなの幸せだと思ってやっていたんですが。
それでほんまにみんな幸せになるんか?と思いだしました。

●社員がしゃべらなくなってきた

それと、社員がだんだんとしゃべらなくなってきたんですね。
創業時はみんなでワイワイあれやこれや言いながら一緒に考えとったんですね。
それがいつの間にか、独り舞台になっていたんですね。

自分の言うことを、みんなは忠実に聞いて動いてくれるんだけど、
自分で考え行動する力がなくなっていって、自分が指示命令をこと細かく与えて
いかないと動けなくなっていったんですね。コンピューターみたいです。

プログラムしないと何も動かないと。正確にプログラムできればいいけど、
多少バグを含むとそこでミスがおこると。だから徹底的にプログラムするが
ごとく、人を動かしていたんですね。 これでいいんやろかと。
ロボット化してるじゃないかと。
人間ってなんやろかと。

●転機

93年から環境の問題も出てきました。
僕は科学信奉者で、科学の力で未来は全部つくってゆけると信じていましたが、
その頃の先端の科学者が、「どうやら自然界に内在するテクノロジーには科学
は及びもつかない」と言い出しました。人間は結局自然界のものを利用している
だけだと。人間は、自然界で発見したものの利用技術をあげていっているだけで
根本の部分はできていないと。このままいくと、ゴミ、温暖化の問題、地球の資源
をくいつぶしているし、地球全体のリスクになってきていると公式に発表されて
いきました。

かたや、自分は何をやっているかというと、新しい製品は発表しますが5年先
にゴミになって買い換えてもらえるとわかっていてつくっているわけです。
ゴミになるというのがわかっていながらこんなことやっていていいのかと。
科学者がいうには子供の時代には限界がきますよ、とか言っているのに。

それまでは経済活動一筋でやってきましたが、恐ろしくなったわけです。
自分はそれまでとらなかった情報を得るようになりましたし、今まで会わなかった
人たちと会うようになりましたし、日本全国の聖地を見るようになったり神社探検
とかしたり、特定の宗教はもっていませんが、興味をもったり。

そして、30歳のとき、ちょうど95年、阪神大震災の年に根本的に経営の
やり方を変えたのが、「プロジェクト・ドライブ制度」、非常識と言われた
制度だったんです。

●「プロジェクト・ドライブ制度」とは?

どういう組織かというと、普通の組織は権限のある人が上のピラミッドに
なっているのですが、それをひっくり返したような組織だと考えていただいて
いいと思います。代表取締役、取締役などの全権限をなくしました。
責任だけを全部負うのが、社長や取締役の役目だと。

会社っていうのはある種意思をもたない、形そのものも決めていかないと。
実態となるのは目的ごとにつくられたプロジェクトという組織であって、
その集合体を維持する、会社というのは、「場」にしかすぎないと。
そういう経営の仕方に変えました。

評価査定の撤廃。一切の管理をやめてしまう仕掛けとか。根本的に今までの
経営と言われるものから全く違う構造体に移行したんですよ。仮説だったの
でうまくいくかわからなかったんですが。社歴20年のうち、最初の10年
は自分の特許だけだったんですが、後半の10年はいろんな人が特許を取る人
が増えました。売り上げも増えました。独創性の高い事業ばかりで継続して
きました。結果として間違ってなかったと思います。

●働いていて楽しくない会社はあかん

で、その当時一番僕が意識していたのが働いていて楽しくない会社はあかんなと。
楽しくなかったんですね、社長である自分が計画立てて、そのとおりに遂行さ
せてゆく経営スタイルは。みんなは必死でがんばっていたけど
楽しそうではなかったですね。で、今は楽しそうにやっています。
楽しく仕事をしたほうがですね、スピードが倍以上早くなりますね。
やりたい人がやればいいんです。
経営の仕方をがらっと変えて、本当によかったと思っています。

その間、色々気がついたことですが、やはり組織というのは手段なんですね。
組織が自己目的化されたときに色んな時代に腐敗がはじまっていると。
組織が目的化されたときに、既得権が生まれてきて、社会的に変わっていった
ほうがいいとわかっていても、なかなかそう出来ない状態がおこってしまう。

                                    (つづく)

                                文責:森嶋伸夫

 



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