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        一新塾ニュース〜市民力で社会一新!
         【第264号】 発行日:2006年10月23日
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目次
■長野県と一新塾 その1 

      『 しなの鉄道経営改革提言 』

                    一新塾代表理事・事務局長 森嶋伸夫

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。

いよいよ待望の「田中康夫氏講演会」を11月1日(水)19時より
開催いたします!

「今の日本のどこがどうおかしいのか?」
「これから日本を誰が、どうすべきか?」
「そのビジョン、シナリオ、プログラムは何?」など

日本復活の“新しいビジョン”を語っていただきます。後半では、参加者
の皆様と議論する時間を十分に用意させていただきました。
ぜひ、奮ってご参加ください!
http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/ev_mosikomi.html

さて、長野県と一新塾とは、塾生のプロジェクト活動において
これまで様々なご縁がございました。
3回シリーズでご紹介させていただきたいと思います。
第1回目は『しなの鉄道経営改革提言』です!


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■■■□            長野県と一新塾 その1
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□□            『しなの鉄道 経営改革提言』
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■□        一新塾代表理事・事務局長  森嶋 伸夫



二〇〇〇年十月、長野県知事選挙。保守王国だった長野県に無党派、市民派
の知事が誕生。その一翼を担ったのが、小布施に住む木下豊さん(六期)でした。
小布施のまちづくりを進める住民の一人です。来訪者が年間一〇〇万人に達した
小布施町の新しい発展ビジョンを生み出そうと、小布施から一新塾まで毎週休まず、
新幹線で通った型破りな方です。

  田中康夫氏の擁立にあたっては、長野の財界がまず働きかけをしましたが、
「普通の県民、できれば私より若い世代の動きはないのですか?」との田中氏の返事。
これを受け、木下さんを含む二十代から四十代までの五人のメンバーが「田中さん、
知事選に立候補しましょうよ会」を立ちあげて記者会見。街頭署名を展開して
田中氏を説得しました。田中氏は、六期の講師として一新塾を訪れ、数か月前に、
木下さんとも出会っていました。木下さんは選対事務所で田中候補の事務方の
秘書役を引きうけ、生まれて初めて、選挙運動に関わることになりました。

全県に誕生した勝手連の調整役を務めると同時に、「ミニ・個人演説会」の担当
として、四五日間でなんと一一〇回のミニ集会と個人演説会を実現。市民運動と
財界が協働する橋渡し役も担いました。

当選後、木下さんに一新塾に駆けつけていただき、集まった塾生たちに活動報告
をしていただきました。「勝手連で盛り上がった県民の声を集約して長野県政に
反映させるための、プロジェクトの立ち上げを考えている」とのメッセージ。
どんなテーマに取り組もうか、様々なアイデアを意見交換しました。

その時、「しなの鉄道」問題が話題にあがり、一新塾有志8人がプロジェクトへ
の参加に手を挙げました。しなの鉄道とは、新幹線の並行在来線を引きうける日本初
の第三セクター(県出資七五%)です。一九九七年の長野新幹線(整備新幹線)の
開業に伴い、信越線軽井沢―篠ノ井間をJR東日本から約一〇四億円で購入し、
しなの鉄道株式会社としてスタートしました。しかし、マイカーや新幹線に人の
流れをとられ、毎年一〇億円もの赤字を出しており、その穴埋めに県民の税金を
充てる計画や、運賃値上げの検討がされていました。そのしわ寄せは沿線住民に
押し付けられ、サービスの低下や地域の衰退などが懸念されていました。

二〇〇一年一月に小布施で第一回目のミーティングを行い、「しなの鉄道研究会」
が発足。地元の有志メンバー三人と、東京からの一新塾有志メンバー八人からの
スタートでした。沿線住民である上田市のメンバー・清水全氏が代表世話人
となり、地元の声を汲み取り精力的に提言をまとめていきました。木下さんは
清水氏とともに、その提言を知事へ繋げていきました。個々の職業の持ち味を活かし、
様々な角度から提言作成の知恵が結集されました。メンバーの中に鉄道会社の社員、
運輸政策の研究者などの専門家がいたことも大きな力となりました。
東京の一新塾メンバーは、夜はみながそろうのが難しいとのことで、毎週火曜日の
出勤前の早朝に御茶ノ水で定例ミーティングを開催することにしました。
また、時間を見つけては週末に長野入りし地元メンバーと徹夜で議論しました。

粘り強く提言を繰り返す活動を見て、知事が「しなの鉄道の抜本的改革に取組む」
との意欲を示していただきました。

二〇〇一年五月、県に「しなの鉄道経営改革検討委員会」が発足し、研究会代表
世話人の清水全氏が提言する機会もいただき「放漫経営のメンタル面の改革」、
「人件費を運賃収入の五〇%以下に」、「新型急行電車導入」を訴えました。
また、「しなの鉄道研究会」の活動が地元新聞に取り上げられ、それを見た複数
の財界人から協力の申出がありました。

長野県知事選以来の「市民運動と財界のパイプライン」が再び機能し、知事や
県庁を揺り動かしました。研究会メンバーの協働と清水氏の粘りで、「運賃値上げ」
と「補助金」なしでの自立した経営改革を訴え続け、安易な解決策をストップ
させました。以来、しなの鉄道は、社長以下、従業員が一丸となり、沿線住民や
自治体と一体になった営業努力の結果、毎年一〇億円の運営赤字から二〇〇四年度
には黒字転換を果たしたのです。

木下さんの本気の姿勢が、同志のミッションを呼び覚まし協働が生まれました。
主体的市民を生きる先駆者の姿勢が続々と他のメンバーを主体的市民へと目覚めさせ、
それが連鎖していきます。

次なる挑戦者は誰か。
もしかしたら、このメルマガをお読みいただいているあなたなのかもしれません。

 



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