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       一新塾ニュース 〜今のニッポンを変えろ!〜
       【第93号】 発行日:2003年6月5日
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【草の根からの生活者維新レポート】
「個人発の産学協同プロジェクト」
                     河合拓氏(第7期・8期OB)
●平凡なサラリーマンの2年越しの夢が実現!
●きっかけは一新塾での政策提言
●プロジェクトはこうして成功した!
●もっとも強調したい成功要因とは?


●平凡なサラリーマンの2年越しの夢が実現!
 5月17日に伊藤忠商事と専修大学で「産学協同プロジェクト」と命名さ
れたイベントが開催された。このプロジェクトは大手業界新聞に連載され、
様々な雑誌にも紹介されたプロジェクトである。この話を聞いて、このプロ
ジェクトが平凡なサラリーマンが企画して、実現したということを信じる人
が何人いるだろうか。実はこのプロジェクトは私が企画を行い、私が進めて
いったプロジェクトである。この企画は私とFRIの会員である大学のある
助教授が2年越しで企画していた夢だった。

「産学協同」という聞こえのよい言葉を使う人は数多くいるが、実際やると
なるど大変難しい。とくに、私のように、自分の会社の名前など使わず、
個人の趣味でこの夢を実現する、とくに、相手が大商社と私立大学であるこ
とから、普通に考えれば、実現の可能性は限りなくゼロに近かった。
私はFRIという学生向けのキャリアセミナーを個人で行い、よく大学生を
あつめ、偉そうに提案の練習などをすることがあるが、自分自身の提案が実
現されることが、高いところから彼らに話ができる免罪符であるとずっと考
えていた。そのために、どうしても、成功させたいプロジェクトだったわけ
である。

しかし、今思えば個人だからこそ、この企画が実現できたのだと思う。大
きな企業の看板でこういうことを行えば、それは企業が本当にやりたいから
やるのか、系列など日本特有のなれあいでやるのか分からないからだ。だか
ら、我々は、この、大学と企業という決して容易には交わらない水と油をま
ぜあわせ、かつ、まったく一つの液体とするために、企業と大学のメリット
とデメリットを徹底的に考えた。

●きっかけは一新塾での政策提言
 我々の戦略を説明する前に、このプロジェクトの簡単な説明をしておこう。
このプロジェクトは、私が一新塾第8期で行っていた「繊維業界構造改革プ
ラン」の延長として、まったく新しいアパレルの流通構造をつくるために、
WEB上で消費者が自分でデザインをして、自分で購買するという仕組みを伊藤
忠商事と考えていた。そこに私のアイデアで、この、日本でもまったく新し
い消費者参加型のWEBサイトを、学生が研究対象としてPRしていくというと
いう産学協同のプランを考えたわけである。このプロジェクトは、専修大学、
伊藤忠商事に一発で承諾され、2003年1月にキックオフとなった。
http://www.fri-associates.com/sangaku/index.html

●プロジェクトはこうして成功した!
 まず、このプロジェクトをとおして分かったことは、この手の提案となる
と、学生側は「戦略提案」をやりたがるが、所詮学生がつくった戦略など企業
は聞く耳などもたないということだった。たとえ、その戦略がすばらしいもの
であっても、企業はそれを採用することはめったにないだろう。実は、私もこ
れで一度失敗した。最初に学生がつくった戦略は一笑に付され、実現の可能性
すらなかった。しかし、考えてみれば当たり前である。相手は百戦錬磨の総合
商社だ。このあたり、プロジェクト参加者の力学というか、それぞれの思いと
利害をしっかりと理解した進め方をしなければ、絵に描いたような戦略も?所
詮は机上の空論となってしまうということである。
 
まず、企業側のメリットであるが、大学生自身がT-SHIRTの実質的な顧客であ
るということである。顧客自身が商品を盛り上げる仕組みを作ること、これほ
ど確実に顧客を取り込める方法はない。しかも、大学生自身が口コミをつかい、
彼らの中で広めていけば、企業側の広告費は一切無料である。一方大学側のメ
リットは、なにより一流企業とプロジェクトを一緒に進めることで、机の上で
経験することができないフィールドワークが行えるということである。かつ、
実際のマーケティング活動を行うことで、企業の収益があがれば、これほど説
得力のある授業はあり得ないだろう。このように、双方のメリットを明らかに
し、分かりやすいポイントに絞り込んで提案をしたのが、今回の我々の戦略の
成功要因であった。お互いの「キードライバー」をはっきりと定義したことが
成功の要因だった。

●もっとも強調したい成功要因とは?
 しかし、私が今回のプロジェクトでもっとも強調したい成功要因は、美しい
戦略ではなく、実際にこのプロジェクトに関わった「人」である。私がやった
もっとも大きな成功は、この信頼でき、少年のような夢をもち、口だけの評論
家ではない熱い二人の男を出会わせたことである。伊藤忠商事の方は、このプ
ロジェクトを社内で非常にうまく宣伝し、上司の承認を得ながら進めていった。
大学の助教授は、自らのゼミをすべてこの企画に当て、このプロジェクトで単
位をとれるよう設定した。普通ではこんなことはあり得ないだろう。今回たし
かに、我々が提案した美しい戦略は二人の男を動かしたが、このプロジェクト
を実現に導いたのは、「人」であることがよくわかった。人無くして成功はあ
りえない。策におぼれるとはよく言うが、今回ほどこのことを学んだことはな
かった。 

このように、個人の思いが形になったことをここで紹介することは、とても
うれしい。ましてや、そのプロジェクトが大商社と大学という今まで実現しえ
なかった関係であることもエキサイティングだ。専修大学側は伊藤忠商事の社
会人を授業の講師として定期的に招くことを検討し始め、伊藤忠商事は学生を
マーケティングの要因として使いつつ、将来の採用候補として彼らと接触しよ
うとし始めている。この助教授は、日本の大学生は大学名で大学を選ぶ傾向が
あるが、彼、神原助教授の名前で学生を呼び、彼のゼミから大手商社とパイプ
をつくっていくと言っている。小さな試みだが、大きな変革のうねりになれば、
これほどうれしいことはない。

上記の河合拓さんからのメッセージが一新塾hpに出ています!
http://www.isshinjuku.com/03bosu/b_yobikake.html#0004

FRIのホームページ: http://www.fri-associates.com


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