塾生の声

一新塾卒塾生からのメッセージ

深田 智之 氏
会津東山温泉くつろぎ宿社長
湯瀬温泉せせらぎ宿社長
一新塾4・5・6期卒塾
一新塾OB講師
一新塾理事

◎入塾前は、会社員
→ 旅館ホテル再生事業で起業


「ハコモノ有効活用で地域を元気に」

一新塾の講師の本音の話は、期待通りでした。これまでの会社中心の人生の延長線上では、出会うことがないであろう「人」とのつながりも実現。
人生の選択肢は、どんな時でも1つでないことを、頭でなく、心で感じることができたことが一番の変化でした。

沢山刺激を受けて、私はシンクタンクに在籍していた専門を活かし、2001年末に独立。福島県で3旅館を同時再生し、現在は秋田県の湯瀬ホテルの事業再生も担っています。人生を迷っている人に、夢を抱いている人に、私は一新塾をお勧めします。

私は1964年東京生まれ。東京電機大学大学院理工学研究科建設工学修士課程修了。1991年住信基礎研究所(現:三井住友トラスト基礎研究所)入社。第一勧銀総合研究所(現:みずほ総合研究所)。都市銀行系シンクタンクの研究員として、まちづくりや都市開発、不動産の有効利用に関する調査、及びコンサルティング業務に携わっていました。

公共の所有地や施設の活用など行政の仕事も手掛けていましたが、ものごとがなかなか前に進んでいかない。民間に比べて、公的機関の場合は調査報告や実地プランを出しても極めて対応が遅く、何も動かないことが多かったのです。行政の仕組みによるものですが、これでは、ハコモノにおける、サービスの改善や施設・設備の有効活用には無理があると感じました。

1998年から約2年間、仕事で、年金福祉事業団からの依頼で、グリーンピアの調査に携わりました。(グリーンピアとは、1980年から88年に旧年金福祉事業団が「年金保養基地」として全国に13ケ所建設したホテルやスポーツ施設やキャンプ場、遊戯施設等が贅沢に配されたもの)その結果、責任と権限がはっきりしない体質こそがグリーンピアの根本的な問題だと分析できました。民間企業のメリットを生かせば、求められるサービスを提供し、収益を上げることもできるはず。それは地域再生にもつながり、公の施設としての役割も十分果たすことになるだろうと思いました。

その頃、かねてから著書を読んで感銘を受けていた大前研一氏をはじめ、専門性の高い講師陣から学びたい、社会的な話題をより広く理解すれば、クライアントに長期的な視野に立ったアドバイスをするのに役立つだろうと考えて一新塾に入塾していました。(1997年)講義に出席する傍ら、ハコモノの運営を民間が請け負って再生させようという思いを塾生同士で語り合い、仲間と共に何度か外部で事業プランの発表も行ったりしました。しかし専門家ほど「意義のあることだが、役所の前例主義、公共事業の既得権益や癒着など、動かしがたい問題があり、民間が受注して事業とするのは無理だろう」という講評が返ってくるだけでした。その2年ほど後に、グリーンピア土佐横浪閉鎖の話が持ち上がったのです。

この施設を存続させたいと願う関係者は、私に「なんとかならないか」と相談をもちかけました。毎年赤字を膨らませ続けている施設ではあるが、立派な施設や恵まれた自然環境といった資源を有効に活用しながらサービスを改善させ、セールスをしっかりすれば再生の可能性があると感じていたので、具体的な再生プランを考え始めました。この動きの中で出会ったのが、地元の須崎市の梅原市長(当時)でした。梅原市長との出会いが私の人生を変えました。

「須崎市にとって、グリーンピア土佐横浪は、なくてはならない大切なものです。ぜひ、助けてください。できればお会いして話を聞かせていただきたい」との梅原市長からの電話の後、何度か梅原市長に会い、その熱意にすっかりほだされてしまいました。当時は、自分はコンサルタントとして関り、運営受託にふさわしい企業を見つけようと考えていたのですが、自らが「現場に飛び込んで再生しよう」との決断にいたり、起業準備を始めました。

梅原市長は県の求める条件を粘り強く交渉してハードルを下げさせ、懇願し、私が立ち上げた運営会社に地元企業からの出資まで取り付けてくれました。一新塾の同期の林さんからの紹介で、ホテルの現場を熟知してた30年余りホテルマンを勤めていた清水さんがグリーンピアの運営をしていく立役者となってくれました。2001年7月、日本で初めて純粋民間企業をも対象にした公共施設の運営全般の委託コンペが行われ、私が代表とするグループが選ばれました。

2001年12月に大赤字を黒字転換することを目的に飛び込んだグリーンピア土佐横浪では、職員の意識改革から始まり、地元との連携、それまでにはなかった様々な努力と工夫をしました。受託当時は年間平均7000万円を超えていた赤字が、2003年度にはようやく黒字に計上し、利用者数は30%も増えました。ところが、2003年12月末に突然、須崎市から「グリーンピアは深田さんの会社との運営委託契約を更新しない。宿泊施設としては閉鎖が決定した」との連絡が入りました。梅原市長が突然辞任した直後のことでした。地元の人と存続を求める誓願書と2000名を超える署名を市議会に提出しましたが、不採択となり、2004年3月でグリーンピア土佐横浪は閉鎖となってしまいました。

その後、私は、福島県の会津東山温泉の地で三軒の旅館を一括して再建し、温泉街全体の活性化につなげていくという新しモデルを構築すべく行動を起こすことになりました。(続きは一新塾講義にてお話します。)


深田智之 (会津東山温泉くつろぎ宿社長・湯瀬温泉せせらぎ宿社長)

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