塾生の声 体験談

一新塾卒塾生の体験談とメッセージ

古屋剛(一般社団法人Ayanai代表理事・一新塾54期56期卒塾「)

古屋 剛 氏

一般社団法人Ayanai代表理事
一新塾54期・56期卒塾

◎入塾前は国家公務員
→多文化共生のテーマで起業


「外国人材の社会への包摂を進める!一新塾と練り上げた事業構想」


 2026年1月、私が代表理事を務める一般社団法人Ayanai(アヤナイ)が船出した。Ayanaiは、企業で働く外国人材が、母国のものの考え方等を大切にしながら、その能力を如何なく発揮し、自己実現できるよう、当該外国人材を雇用する企業に対し、その包摂に向けた様々なサポートを提供する一般社団法人である。

具体的には、①これから外国人材を雇用しようとする企業で、外国人材がより一層活躍し、貢献できるよう、その職務を適切に設計したり、そのポストに募集する外国人材の要件設定その他募集活動の支援を行う、②外国人材を雇用している企業において、雇用現場の継続的なモニタリングを行うとともに、外国人材からの様々な相談に対応するなどし、外国人材雇用現場における心理的安全性の向上を図る、③雇用されている外国人材への日本語教育や共に働く日本人社員のコミュニケーション能力向上のための研修等を行う、④雇用されている外国人材の帯同配偶者に日本語教育や生活上の困りごとについての相談対応等を行い、外国人材の職場定着と帯同配偶者の社会への包摂を促進する、こと等を設立目的としている。

そして、このようなAyanaiの活動は、同時に、外国人材雇用企業において、新たな事業分野への展開その他外国人材の獲得と活用による企業活動のイノベーションのきっかけを提供するものともなる。
この構想の積み上げには足掛け3年を要した。2025年3月末、38年間の国家公務員生活を終え定年退官、その定年から遡ること2年、私は、防衛省の防衛研究所の上席主任研究官として充実した日々を送っていた。しかし、そんな中でも、定年後の社会起業を考えていた私には、定年後に自分がやりたいこと(will)、自分ができること(can)、自分が時代や社会から求められていること(must)について自問自答する時間が多くなってきていた。

いくつものwillやmustが浮かんでは消えた。子ども相手のキャリア教育、安全保障についての市民教育、政治家の政策プランナー、政治を自然に理解できるようになるボードゲームの開発、シニア向けのキャリコン酒場等々。わずかに共通項があるとすれば、きっと私は誰かに何かを伝えたいということなのだろ。しかし、その具体像はまだ暗中模索の状態であった。

当時の私には、もう一つ大きな課題があった。長い役人生活の中で、それなりにプロモーションもしていたこともあり、いつしか、周囲からの率直な意見や役人社会以外の多様なものの見方に接する機会が少なくなっていた。このまま役人生活を終え、社会起業という形で、これまでとは全く違った世界に身を投じたとして、果たして、そこで真っ当な意見交換をし、良好な人間関係を築いていけるのだろうか?役人社会は自分にとってコンフォートゾーンに過ぎる。このままでは、きっと新たな世界を乗り切る能力は得られないであろう。私は、なるべく早く別の世界に越境してみる必要があった。

そのような中、私は一新塾と出会った。一新塾本科での越境体験は刺激に満ちたものであった。まず、代表理事の森嶋さんからは、最初は肩書で自己紹介するなと云われた。自分の肩書を相手に伝えないで自らの意見を伝え、意見を集約し、相手の理解を得ていくことの難しさが身に染みた。一新塾での議論は率直で、かつ、いい意味で忖度がない。正直言って、最初の頃は、内心むかっ腹が立つこともあったが、その経験こそが越境体験の胆なのである。

今では、かつての私とは別人のように、多様な考えを持つ多様な世界の方々と互いにストレスなく意見交換をし、フラットな人間関係を築けるようになった。
また、一新塾からは、私のwillとmustを精緻化し、事業化する上でも多くのことを教えてもらった。一新塾OBで、株式会社レアジョブ創業者・Zuitt.inc創業者の加藤智久さんの講義からは日本社会における外国人活用の重要性について目を開かされた。

仲間の地域活性化プロジェクトで行った観光地での現場インタビューでは、日本人の労働力が多くの分野で如何に枯渇しているかについて取材でき、外国人雇用の必要性の裏付けを得た。これまでの人生を振り返りつつ「六つの箱」を作り、仮説を立て、関係者にインタビュー等をし、それらを踏まえて仮説を修正し、更に「六つの箱」を回していくという一新塾のメソッドに従って、外国人の雇用に関わる多くの人々の生の声を聞き続けた。そんな中で、漠然とした方向性は、次第に、先に述べた事業構想へと姿を整えていった。

さらに、本科卒塾後に入ったOBOGコースでは、幾度か事業計画についてのプレゼンと起業された一新塾の先輩からのアドバイスを頂く機会を頂き、その機会が事業の進捗を管理するマイルストーンになった。
一般社団法人Ayanaiの事業は、ようやく緒についたばかりで、これからが本番であるが、一新塾なくしては、現在の状況まで決して来ることはできなかったであろう。感謝、感謝である。


古屋 剛(一般社団法人Ayanai代表理事)

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