塾生の声

一新塾卒塾生からのメッセージ

菊地真紀子 氏

合同会社VALN代表
地域映画「未来シャッター」制作
一新塾21期卒塾
一新塾OB講師

◎入塾前は自営業
→ 女性が活躍するまちづくり会社起業・地域映画の制作活動等


「子育て、地域産業は市民の手で」

転職して自分の選んだやりがいのある「住まい」の仕事をフリーランスでこなし、35歳で念願の起業。さてこれからとなった途端、半年の入院を余儀なくされました。常に勝ち組、負け組、と他人と比べ、勝ち続けなくてはならない重圧に体が悲鳴をあげたのかもしれません。

組織に属さず、配偶者も子どもも持たない生き方は、地に足がつかない根無し草のようで、地域に居場所はなく、人生の目的であったはずの仕事は実は単なる手段の一つでしかなかった。何のための誰のための仕事?自分の存在は社会に何をもたらすものだったのだろうか?自問の日々。退院後、この後の人生をどうやって生きるのかを模索する中、一新塾に出会いました。

入塾して驚いたのは、各々課題は違っていても、何らかの形で社会を良くしたいと考えている多くの人がいたことです。ボランティアの枠組みを超えて、自分の人生を賭けて挑戦しようとしている人たち。一新塾では「同志」と呼びますが、ちょっと気恥ずかしく感じるこの言葉がまさにぴったりくるような仲間。組織や利益のつながりではなく、志でつながるので、上っ面が通用しない、反対に安心して本音をさらけ出せる場所。

週一回の講義は、一方的に聴くだけではなく、自分ならどうするかを常に考え、それぞれのチーム活動に生かしていく。机上ではなく現場の声と知恵に触れて、それを皆で共有、プレゼンで思いを伝え、共感者を広げてゆく訓練。それらの経験は卒塾後何年たっても全て活かされています。

「主体的、現場主義を貫き行動すること」
「支援とは対象者を自立させること」

学びで得たこの言葉が、心身に染み通りました。

一新塾では自分のミッションで仲間を募り、チームを作るプログラムがありますが、私も手を挙げてチーム活動を始めました。「地域の中で多様な人たちがシェアしあい、子どもたちの居場所を支える」活動です。子どもたちの育ちは親だけではなく地域全体で。居場所がないと感じている地域の人たちも、子どもと関わることで自分の存在の大切さを知り、時間やスキルをシェアできるのではないかと。

仕事優先で地域や家庭のことに目を向けず他人任せ、そういう自分自身の生き方への反省もあり、私のような人は実は少なくないのではないか、彼らが地域に主体的に関わることによって、現代社会が抱える課題を解決できるのではないかと考えてのことでした。

地元の大田区を歩き、多くの人の話を聴いて回ったところ、すでに素晴らしい活動をしている先輩がたくさんいることを知りました。そんな中、子育てに関しての歴史ある団体の事務局長の方から子育てイベントの実行委員長のお話をいただき、地域活動へ。子育てと教育と産業は縦割りではなく一緒に課題解決すべきではないかと大田区の中心産業の「ものづくり」の方々にも参加を呼びかけました。

それがご縁で、2010年、ものづくりの企業、出産・子育てのためにキャリアを断念せざるを得ない女性たち、これら価値ある地域資源を活用し地域の問題解決をするために仲間と合同会社VALNを設立。さらに、2011年「商店街な人」を制作したNPO法人ワップフィルムとの出会いから事務局長の働きを担うことになり、地域映画の制作にも関わることになりました。

活動するうちに、商店街の空き店舗活用のお話があり、蒲田のキネマ通りの商店街にコミュニティカフェ・コワーキングスペース・まち中映画館の機能を持つ「キネマフューチャーセンター」をリノベーションして開設。「場を持つ」ということは覚悟して地域に根を張ることだと思います。この場を縁として様々なイベント「キネマフェスタ」「キネマハロウィン」「キネマ笑顔食堂」の取り組み、「こども笑顔ミーティング」の結成、など地域活動が広がってゆきました。

「多様な人が尊重しあい、得意分野をシェアしながら自分の場を豊かにする」それが一新塾卒塾の時から変わらない私が目指すビジョンです。自分の居場所がなければ創ればいい。やりたいことが見つからなければ探し続ければいい。一新塾で描いたビジョンが、実現し、仲間が増えて、更に大きなビジョンが次から次と現れ具現化しげゆきます。夢は必ず実現するもの、未来は自分たちで創っていく、「主体的市民として」 これからも挑戦し続けたいと思います。

菊地真紀子 (合同会社VALN代表・一新塾理事)


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