塾生の声

一新塾卒塾生からのメッセージ

一新塾卒塾生 日下由紀子氏

日下由紀子 氏

フィンランド式国語教室『てら小屋 遊学舎』代表
ライブラリーフレンズ四日市代表
一新塾40・42期卒塾

◎入塾前は経営者
→市民団体を立ち上げ政策提言


「あったらいいなこんな図書館!市民参加の四日市市の新図書館づくり」


幼少期は本の虫で、小学生の頃は、友達と遊ぶより家で本を読んで過ごす方が好きでした。

中学・高校と国語が得意で、国語の先生になりたいと思っていましたが、残念ながら教員採用試験は突破できませんでした。しかし、子どもと関わる仕事がしたいと思い、中部電力の科学館で働くことになりました。

働きながら、自身の人生をふと振り返ってみました。「いい学校、大手企業、安定した人生を送ることが幸せ」という親の価値観に沿って生きてきたことに気づきました。それが悪いこととは思いませんが、自分で人生をしっかり考え、自分で選んできた感覚がなく、急に不安を覚えました。

「このままでいいのか?」
と思いながら日々を送っている頃に、友人からフィンランドの子どもをホームステイで預かってほしいとの依頼があり、突然フィンランド教育と出会うことになりました。フィンランドは学力が世界でトップ。なぜ、このような小さな国が??という疑問からフィンランドの教育現場の視察に行きました。そこで、国語教育がベースになっていることを知りました。「そういえば私、国語の教員免許を持っている」ということを思い出しました。

勤務していた科学館では毎日、様々な子どもたちと出会います。日本だけでなく海外の子どもたちも訪れます。「日本の子どもたち」と「海外のこどもたち」を比較して感じていたことは、「日本の子どもたち」は非常に優秀なのに自己表現がちょっと苦手。もったいない!ということでした。

科学館での子どもたちとの関わりは、その日限りの一期一会。子どもたちと継続的に関わって、子どもたちが自分の考えを伸び伸びと表現できるような場が創れたら、という想いから会社を辞めて、フィンランド式国語教室「てら小屋遊学舎」を立ち上げました。

経営者になって経営の勉強会に参加する中で、大前研一さんのことを知り、一新塾と出会いました。

一番心に残っているのは、「主体的市民」。独立後の自分は主体的に生きてきたと感じていましたが、私的な要素が強かったように思います。一方、一新塾の人たちがしているプロジェクトは、私的なことより公的なことが多数。政治家だったり、NPOだったり、ボランティアだったり、視座が高く、広く世の中のために活動されている方が多いと感じました。自分の会社の経営だけでなく、「私は世の中のために何が出来るだろう」との思いで入塾しました。

2018年に新聞記事で「四日市市の新図書館建設」のことを知り、「私が今までやってきたこととこれは何かつながる。そうだ、新図書館づくりに関わっていこう。」と思いました。三重県は学力が全国最下位という状態が続いていた時期でもありました。「教育は国家百年の計」と言われます。市民自ら考え、図書館づくりに携わり、市民にとって本当に必要な学びや体験、知に触れられる機会を得られる図書館にしていくことで、市民が主体的になり、民度の向上を図りたいと考えたのです。

その頃、森嶋さんに、町民みんなで話し合ってつくられた「小布施町立図書館まちとしょテラソ」の住民代表だった一新塾の先輩をご紹介いただきました。自分が実際にやろうとしているプロジェクトを既にご経験されている先輩がいることが励みになりました。

そして、市長にアポを取り、2018年10月に新図書館づくりに参加したい旨を伝えました。しかし、「今の状態では、あなた個人の一意見でしかありません。行政は一市民の意見では動けません。声が多い程、動きやすくなります。市民団体を作り、しかるべき時までに実績を積んでください。そうすれば行政から声がかけやすくなります」と言われました。

そこで、仲間を募り2018年11月に「四日市の図書館を考える会『ささって』」という市民団体を立ち上げました。その時点で、図書館が新しくなることを知らない市民の方は本当に多かったです。そのため、まずは新図書館ができることを広く市民に知っていただく活動をしなければならないと思い、「あったらいいなこんな図書館イベント」を実施。このイベントをシリーズ化し、繰り返し行い、どんな図書館にしたいかを市民の皆さんと話し合いました。そしてイベントで出たアイデア、意見を市長に届けるという活動を続けています。メディアにも何度か取り上げていただき、今現在は新しくなることを知っている市民の方が増えてきました。

その後、同じく新図書館をよりよいものにしたいと思って活動されている他団体と繋がり、2022年5月から「ライブラリーフレンズ四日市」名称で活動。

私たちの会は、市民側から「要望」を出すことが目的ではありません。市民と行政が協働しながら「より良い図書館」をつくることが目的です。さらに、2028年に完成して終わりでなく、完成してからも図書館でイベントをしたり、人が集まる取り組みも行なっていきたいと考えています。それによって、四日市市で本読む人が増え、教育レベルや民度が上がることで、まちの活性化につなげていきたいと思います。


日下由紀子(ライブラリーフレンズ四日市代表)

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