塾生の声

一新塾卒塾生からのメッセージ

松本素子(南湖ハウス代表・一新塾36期卒塾生)

松本素子 氏

南湖ハウス(任意団体ふらっと南湖)代表
一新塾36期卒塾

◎入塾前は建築士+里親経験17年
→児童養護施設退所後の若者らが気軽に立ち寄れる「多世代コミュニティハウス」運営


「児童養護施設で育った若者の『実家』のような場所「南湖(なんご)ハウス」


戦後の母親の学生時代に乳児院でのボランティアのことをよく話してくれました。
戦争で親を失った子どもが抱っこをせがみ膝から離れない光景がずっと脳裏に焼き付いていました。
私はデザイン科の短大を出てから、テキスタイルを使った内装の会社で働いた後に、設計事務所に転職し、建築士の資格も取りました。

30代に入り結婚して、子どもが生まれ子育てに注力している頃、次々に起こる児童虐待致死事件に胸を痛めていました。あるとき、「里親激減」との新聞記事を目にして、「里親が厳しい環境の子どもの一助になる」ことを知り、やってみようという思いが湧きあがりました。
主人の理解も得て、二人の実子が幼かったこともあり、年に数回、二泊三日ほど自宅で児童養護施設の子どもを受け入れる「季節里親」を2004年からし始めました。

2010年頃に大阪の兄姉弟が餓死する事件に再度震撼となり、社会的養護をしっかり学び始めたのでした。ちょうどその頃に、乳児院・児童養護施設の子どもたちへの抱っこボランティアや里親支援をする「一般社団法人ぐるーん」初代代表の有尾美香子さんに出会いました。有尾さんは2010年に一新塾に入ってこのプロジェクトを立ち上げ活動を広げていましたが、2015年に癌で他界されたことをきっかけに一新塾の森嶋さんから連絡を受け、一新塾とのご縁ができました。

2015年、私も塾生となり、多様な講師の方々と同期の友人たちの刺激によって視野が広がってゆきました。また、「市民」ということを意識化するようになり、市政への関心も高まってゆきました。
卒塾後は、早稲田里親研究会の事務局も担い、「新しい社会的養育ビジョンへの要望」を国や都道府県や市町村に提言。

2021年には、相続した家を親族の理解を得て、『南湖ハウス』として茅ケ崎市南湖に誕生させることができました。ちょうど、里子のタダオ君が18歳で施設を卒業するタイミングで、ご縁を感じながら、今は兄弟で活動を手伝ってくれています。南湖ハウスは2024年で3年目ですが、日々「虐待の無い家族になってもらうのに地域に何が出来るか」を考えています。その中で、多くの自治体にあるファミリーサポート制度の参加は有効だと思い実行もしています。

子どもたちにとって大切なのは、そばで見守り続けてくれる大人の存在です。血の繋がりは関係ありません。同じ地域に住む多世代が自然に出会い、子どもを中心にした顔の見える安心な関係(コミュニティ)ができることが理想です。小さいコミュニティが開かれたものであれば、選択肢も広がり、豊かな地域になることでしょう。

松本素子(南湖ハウス(任意団体ふらっと南湖)代表)

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